2013 Fiscal Year Research-status Report
薬剤の捕捉や送達及び放出が制御できる新規分子システムの開発
Project/Area Number |
25410184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安東 勢津子 福岡大学, 理学部, 講師 (20078562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホストゲスト化学 / ペプチド化学 / アシルヒドラゾン結合 / ペプチド結合 / クラスター効果 / トリプシン / トリプシン基質 |
Research Abstract |
薬物の捕捉や放出が自在に制御でき、狙った細胞内に薬物を効率よく送り届ける分子システムを開発することが目標である。具体的には、可逆的で“弱い共有結合”を利用して複数個のシクロファンを連結したシクロファン多量体(ホスト)を合成し、クラスター効果を反映して薬物(ゲスト)を強く捕捉させる。次に、ホストゲスト複合体のまま細胞内へ薬物を送達させる。細胞内リソソームの弱酸性環境下においてシクロファン多量体が酸加水分解され単量体に解裂することで、クラスター効果の解消とともに薬物が細胞内に放出される分子システムを構築する。 25年度は、シクロファン多量体として2つの合成法を検討した。ひとつは、シクロファンの連結部としてアシルヒドラゾン結合を利用したシクロファン多量体を分子設計した。他方、トリプシンの作用を受けるオリゴペプチドをシクロファンの連結部として利用したシクロファン多量体も分子設計した。これらのシクロファン多量体の合成について検討し、鍵となる中間体を合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アシルヒドラゾン結合を利用したシクロファン多量体の前駆体まで合成できている。新規化合物のため、13C NMRや元素分析などによる同定も行った。一方、固相合成したオリゴペプチド鎖をシクロファン骨格へ少なくとも1本は導入できることが MALDI-TOF MS 測定からわかった。しかし、より効果的なシクロファン多量体を合成するためには、より多くのオリゴペプチド鎖をシクロファンに導入する必要があると考える。そのため、反応条件の更なる検討も必要であろう。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、複数個のオリゴペプチド鎖をシクロファン骨格に導入した化合物の合成法を確立したい。それを鍵化合物としてシクロファン多量体の合成について検討する。また、あわせてアシルヒドラゾン結合を利用したシクロファン多量体の合成についても検討したい。
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