2015 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤の捕捉や送達及び放出が制御できる新規分子システムの開発
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25410184
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安東 勢津子 福岡大学, 理学部, その他 (20078562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホストゲスト化学 / ペプチド化学 / アシルヒドラゾン結合 / ペプチド結合 / クラスター効果 / トリプシン / トリプシン基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
シクロファンを用い薬物の捕捉や放出が制御でき、狙った臓器に薬物を効率よく送り届ける分子システムを開発することにした。シクロファンの側鎖に、消化酵素の作用を受ける塩基性アミノ酸含有テトラペプチド (ALKL) を導入した。そしてトリプシンの加水分解作用による分解挙動、及びそれに伴うゲストの結合力の変化によるゲストの捕捉及び放出について検討する。本研究では疎水性ゲストの捕捉及び、トリプシンを用いたゲストの放出能を評価した。 合成して得られたホスト (CP-N3-LKLA-Fmoc) はHPLC、MALDI-TOF-MSで確認した。また1H-NMRでは主要なピークも帰属できた。これらの結果より目的物の合成に成功したと考えている。ゲスト添加 (2,6-ANS) に伴うゲスト由来の蛍光強度の上昇を確認することができた。したがって、ホストに取り込まれることによって、ゲストのミクロ環境が親水性から疎水性へ変化したことが示唆された。また蛍光スペクトル変化からゲストに対する結合定数(K=16000/M)を算出した。これらの結果から、ゲストを捕捉することができたと考えている。トリプシンを用いた蛍光追跡実験では、経時に伴うゲスト由来の蛍光強度の減少が見られた 。トリプシン酵素分解はHPLC、MALDI-TOF-MSで確認し、分解後のFmoc-A-L-K-OHを確認できた。また、ペプチド鎖末端のFmoc基の蛍光スペクトルを測定したところ、蛍光強度の上昇が見られた。以上の結果から、トリプシン酵素分解によるゲストの放出が示唆された。トリプシンの反応速度が遅いことから (半減期一日)、リジン残基のC末端側がシクロファン近傍に位置しているため、シクロファンの立体障害が要因だと考えている。しかし、このトリプシンの反応速度の遅さを利用した徐放システムはDDSに有用ではないかと考えている。
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Research Products
(4 results)