2013 Fiscal Year Research-status Report
固体触媒としてゼオライトを用いた促進酸化処理に関する研究
Project/Area Number |
25410196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
北山 幹人 福岡工業大学, 工学部, 教授 (10330945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 促進酸化処理法 / オゾン / 固体触媒 / ゼオライト / 水処理 |
Research Abstract |
(研究項目1)ESR-スピントラッピング法を用いた活性酸素種の検出・同定・定量 静的方法:スピントラッピング剤であるDMPO水溶液と飽和オゾン水(濃度約10ppm)の混合溶液に固体触媒として種々のゼオライト粉末を添加し、一定時間後のDMPO-活性酸素アダクトをESR水溶液セルを用いて同定した。その結果、Naイオンで置換されたA型とX型ゼオライト、並びに、Naイオン、もしくは、Hイオンで置換されたY型ゼオライトを触媒として用いた場合に、ヒドロキシラジカルが生成することが判った。その他の親水性と疎水性ゼオライトでは、活性酸素種の生成は確認されなかった。また、A型とX型ゼオライトのNaイオンを水洗によって脱離したものは、ラジカル生成能を失活した。このことは、両者が良好な水中溶存オゾン分解能を有することに反するため、次の「動的方法」を試みた。 動的方法:DMPO水溶液にオゾンガス(濃度約10000ppm)を連続してバブリングし、DMPO-活性酸素アダクトによるESRピークの時間変化をESR水溶液セルを用いて追跡した。その結果、同定された活性酸素種は、原子状酸素であった。また、その量は上記の「静的方法」に比べて遥かに多く、また、ESRピークの形が動的に変化することも判った。本方法では、Naイオン脱離A型ゼオライトの良好なラジカル生成能が確認された。また、Hイオン置換Y型ゼオライトでは、時間と共にピークが消失していく現象が観察された。このことは、DMPOアダクト自体が活性酸素によって分解されることを示唆している。 (研究項目2)全有機体炭素計の導入、設置、調整と予備実験の実施 平成25年8月に島津製作所社製全有機体炭素計TOC-Lが納入された。設置・調整後、全有機体炭素測定の予備実験を実施し、問題なく測定できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(研究項目1)ESR-スピントラッピング法を用いた活性酸素種の検出・同定・定量 申請時に計画していた「TEMPOLを標準試料として用いるスピン定量分析」、並びに、DMPO-活性酸素アダクトがゼオライトへ吸着することを想定した「キャピラリーセルを用いたスラリーの状態でのESR測定」は、今回未実施であった。これは、申請時に計画していなかった「動的方法」によって、DMPO-活性酸素アダクトのゼオライトへ吸着は無視できること、また、ピーク高さによって半定量的にスピン量の変化を追跡できることが判ったためである。種々のゼオライト触媒について、そのラジカル生成能と生成した活性酸素種の検出・同定が実施されたこと、並びに、全く新しい促進酸化処理法の研究手法である「動的方法」が確立されたことから、研究項目1の達成度は、おおむね順調に進展していると考える。 (研究項目2)全有機体炭素計の導入、設置、調整と予備実験の実施 予定通り実施された。
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Strategy for Future Research Activity |
(固体触媒を用いた促進酸化処理による難分解性有機物質の分解挙動調査) 申請時に計画していた通り、本研究室で製作したオゾンマイクロバブルによる促進酸化処理実験装置を用い、種々のゼオライトを固体触媒として用いた促進酸化処理による難分解性有機物質の分解挙動(分解速度、無機化の度合い、分解生成物)の調査を実施する。難分解性有機物質の分解挙動追跡は、可視・紫外分光光度計と昨年度導入された全有機体炭素計を同時に用いて実施する。このことによって、促進酸化処理効果、すなわち、オゾンよりも遥かに酸化力の大きい活性酸素種による有機物の無機化の度合いを確認することを第1の目的とする。また、平成25年度の研究結果によって確認されたラジカル生成能の高いゼオライト触媒と低いゼオライト触媒について、難分解性有機物質の分解挙動に明確な差が現れることを確認することを第2の目的とする。 平成25年度に得られた研究成果は、さらに詳細な実験を進め、速やかに学術論文として投稿し、国内学会でその成果を発表する。
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Research Products
(4 results)