2014 Fiscal Year Research-status Report
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25410198
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 貴敏 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究室長 (60416295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 利之 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究主任 (20416291)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機リン化合物 / 添加剤 / クロスカップリング / 難燃剤 / フェノール / 選択的合成 / 環境調和 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機リン系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に替わる難燃剤として注目されている。従来低分子系の添加剤が一般に利用されているが、耐加水分解性の低さ・揮発性の高さの問題がある。また、滲みによる環境への放出が懸念される。有機リン酸エステル系において改良がすすめられているが限りがある。特に樹脂用途として利用するためには、高温における耐久性が必要となる。また、その多くの添加剤がリン-酸素結合のみを有する低分子系有機リン酸エステルであるため、同様に加水分解・揮発性・滲みなどの問題が生じている。脱ハロゲン系難燃剤の開発が期待されるが、リン原子の配位子となる有機構造の多様性は、市販の入手性による制約がある。そこで多様な分子骨格を構築するために遷移金属触媒によるクロスカップリング反応を利用した連結構造を配位子として有する有機リン系化合物の合成を計画した。配位子となる部分構造の連結方法としては様々な方法が知られており、求核部位として、様々な有機金属試薬と親電子剤が利用できる。平成25年度には有機マグネシウム試薬を利用したカップリング反応を利用して、有機ホスフィン酸エステル型の有機リン系難燃剤に向けたリン原子導入の前駆体となる2-フェニルフェノール誘導体の合成について行った。ハロゲン化フェノール類に対する有機マグネシウム試薬の反応において各種2-フェニルフェノール誘導体の合成に繋がった。また、2-フェニル-4-ブロモフェノールを用いたフェニルジボロン酸との反応においてフェニル基で連結した2-フェニルフェノールの合成に展開したが、溶剤に対する低溶解性のために取扱い性に問題があった。今年度は、溶解性の向上のために2-フェニルフェノール骨格の連結基として脂肪族炭化水素を利用する反応を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連結基を介した二量体およびオリゴマー体の有機リン化合物へ繋がる各種フェノール誘導体を得るためにクロスカップリング反応について検討した。これまでに有機マグネシウムを用いた反応により各種フェノール誘導体を効率良く合成した。2-フェニル-4-ブロモフェノールを用いたフェニルジボロン酸との反応において一つのフェニル基に二つの2-フェニルフェノールユニットを連結した化合物を得た。また、カルキシル基を有する2-フェニルフェノール原料とすることにより連結基として脂肪族炭化水素を利用すること成功した。連結基としてジオール、およびトリオールを利用することにより、連結二量体、および三量体へ展開することができたため概ね計画を達成できたと判断できる。得られた知見を基に有機リン化合物を連結する各種フェノール配位子を系統的に合成する方向でさらに進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
遷移金属触媒によるクロスカップリング反応を利用した連結構造の配位子となるフェノール化合物の合成法としては様々な方法が知られているが、有機マグネシウムを利用したカップリング反応において、有機ホスフィン酸エステル型の有機リン系難燃剤に向けたリン原子導入の前駆体となる2-フェニルフェノール誘導体の合成を行った。また、エステル化やFriedel-Crafts反応なども連結手法として利用できるため、今後はこれらの手法を用いて多量体合成へと展開していく。
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Causes of Carryover |
試薬のキャンペーン特価により計画より安価に購入できたことにより、今年度の使用額に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、有機合成を行う試薬、ガラス器具、分析のための試薬などに研究費を使用する。次年度はその他、論文作成、学会発表など成果発表費用として支出する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Synthesis and properties of novel fluorinated subnaphthalocyanines for organic photovoltaic cells2014
Author(s)
Yuko Takao, Tomoaki Masuoka, Koji Yamamoto, Tadashi Mizutani, Fukashi Matsumoto, Kazuyuki Moriwaki, Koichi Hida, Toshiyuki Iwai, Takatoshi Ito, Takumi Mizuno, Toshinobu Ohno
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Journal Title
Tetrahedron Letters
Volume: 55
Pages: 4564-4567
DOI
Peer Reviewed
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