2014 Fiscal Year Research-status Report
希土類錯体をゲルに実装した波長可変レーザー(500-600nm付近)媒質の開発
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25410211
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西山 桂 島根大学, 教育学部, 教授 (40283725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オルガノゲル / 希土類錯体 / レーザー媒質 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 この研究の目的は、紫外線励起により、500–600 nm付近(緑-橙色)で発振する、希土類マルチカラーレーザー媒質の創成を明確化することである。この媒質は、希土類錯体を、オルガノゲル(有機ゲル)中に高濃度(従来の溶液中と比べ、8倍の濃度)で分散させることにより実現する。 【研究実績】 平成26年度は、希土類錯体 Eu(hfa)3(TPPO)2 を合成したとともに、p-クロロフェノールとAOTからなるオルガノゲル中に分散させた。既存の錯体 Eu(hfa)3(phen) は、ゲルへの分散濃度がおよそ1 mM 程度であるのに対し、今回合成したEu(hfa)3(TPPO)2 は>3.2 mMと、ゲルへの分散濃度が非常に大きい。その一方、ゲルを構成する有機溶媒:キシレンへの溶解は、Eu(hfa)3(phen): 0.15 mM に対してEu(hfa)3(TPPO)2: 3.2 mM であり、後者の有機溶媒中への溶解が際立っている。 今回、ナノ秒レーザーを用いた紫外線励起により、Eu(hfa)3(phen)の発光プロファイル I(t) を測定した。その結果、 I(t)は励起光強度に依存せず、単一指数関数で減衰することを明らかにした。この結果は、オルガノゲルのファイバー束近傍に分散された構造を取るEu(hfa)3(phen)を使用して初めて、増幅された自然放出(amplified spontaneous emission; ASE)の発生が可能であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、ASEを与える発光メカニズムについて詳細に検討が進んだとともに、必要な希土類錯体の設計指針を得た。その結果は、査読付き国際誌などで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ゲルの高次構造(ファイバー束構造)の近傍に局所的に存在するような希土類錯体の設計、より具体的には配位子の選択を進めるとともに、これまで得られているデータの取りまとめと成果公表を行う。
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Causes of Carryover |
オルガノゲルに使用する原料について、海外からの輸入品を使用する必要が生じ、納品が26年度中に間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該オルガノゲル原料は27年度に納品されるので、27年度経費として執行する。
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