2014 Fiscal Year Research-status Report
高導電ソフト電極の開発によるイオン伝導アクチュエータの高速応答化
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25410222
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
奥崎 秀典 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60273033)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / PEDOT/PSS / 糖アルコール / 熱処理 / 伸縮性電極 / アラビトール / キシリトール / 電気伝導度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリウレタン(PU)の原料として、ポリエステル系ポリオール(ニッポラン4748、日本ポリウレタン工業)および脂肪族系変性イソシアネート(HC-210、日本ポリウレタン工業)を用いた。まず始めに、PUとイオン液体(IL)の相溶性ならびにゲル化について検討したところ、[EMI][TFSI]がPUと高い相溶性を示し、IL濃度40 wt%以下で透明なゲルが得られた。これに対し、IL濃度40 wt%以上でゲル表面にILが染み出すことから、このPUが保持可能なIL濃度は約40 wt%であることが明らかになった。そこで、[EMI][TFSI]を用いたIL/PUゲルについて詳細に検討した。興味深いことに、IL濃度40 wt%以下では100 N(約10 kg)の応力で圧縮してもILはゲルから染み出さないことから、PUがILを強く保持していることがわかった。IL/PUゲルの電気特性を詳細に検討するため、交流インピーダンス測定を行った。IL/PUゲルのCole-Coleプロットは高周波領域で半円を描き、低周波領域ではイオンの拡散に基づく直線を示すことから、Randles等価回路で表されることがわかった。ゲルのイオン伝導度はIL濃度の上昇とともに向上し、IL = 40 wt%で最高8.8×10-5 S/cmに達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極性の低いイソシアネート成分とイオン液体の溶解性が低いことが懸念されるため、ポリオール成分との組成制御可能なポリウレタンを用い、イオン液体の組成をできる限り高める工夫をした結果、[EMI][TFSI]を40wt含むイオン液体/ポリウレタンゲルの作製に成功した。得られたイオン液体/ポリウレタンゲルの物性評価を行った結果、PUがILを強く保持していることがわかった。さらに、この時のイオン伝導度は最高8.8×10-5 S/cmに達し、ソフトアクチュエータ作製の指針が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した素子のアクチュエータ特性は、恒温恒湿槽とレーザー変位計を組み合わせた既設の装置を用いて行う。しかし、周波数応答が100Hzを超えると従来のレーザー変位計では十分な精度で測定できないことが判明した。そこで、購入予定の高速カメラと解析ソフトを用い、高周波数領域におけるアクチュエータの微小変位についても高精度に測定する。フルフレーム512×512ピクセルで最大10,000コマ/秒の高速撮影が可能なため、100Hz以上の動作に対しても充分に対応できる。アクチュエータの屈曲変形を画像解析し、曲率半径を算出することでアノード側とカソード側のゲルの変位差を求める。同時に、電流電圧特性の時間変化をADコンバータを用いてPCに取り込み、応答速度や出力密度、エネルギー変換効率、耐久性等を系統的に評価する。ここで、アクチュエータ駆動時に電極のPEDOT/PSSが電気化学反応を起こす可能性があるため、アクチュエータ素子のサイクリックボルタモグラムを測定する。これらの実験結果から、アクチュエータ素子の駆動メカニズムを明らかにするとともに、劣化機構に関する情報を得る。 得られた結果を取りまとめ、国内および国際学会において積極的に成果を発表するとともに、学術論文を通じて情報を発信する。
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Research Products
(27 results)