2013 Fiscal Year Research-status Report
ZTメータを用いた酸化物熱電材料の動的・スモールポーラロン生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
25410238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
掛本 博文 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 助教 (10334509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 寛 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 教授 (70334349)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Sr3Fe2O7 / Ba2NaNb5O15 / ゼーベック係数 / 導電率 / バンド計算 |
Research Abstract |
本研究では、酸化物熱電材料のうちより多彩な制御が可能な、ホッピング伝導(スモールポーラロン)を示す材料に着目して研究を行っている。 平成25年度は、主に1. Sr3Fe2O7セラミックス、2. Ba2NaNb5O15セラミックスの熱電特性(ゼーベック係数:S、導電率:σ)について調査を行った。 1. Sr3Fe2O7セラミックスについては、研究が十分進捗したので論文投稿を行い、publishされた。論文発表:1件 2. Ba2NaNb5O15などのセラミックスの熱電特性については、熱電材料に関する主要な国際会議に出席し発表を行った。発表時の討論でその都度、研究の進捗の方向について再度確認を行った。国際会議:6件 またさらに、2. の研究を発展させ、特許の出願を行った。特許:1件 今後は、2.の研究で熱電特性をまとめつつ、測定準備をしているハーマン法により無次元性能指数(ZT=(S^2)σT/κ)より熱伝導率(κ)の算出を行う。また高温の測定になるので、事前に有限要素法(FEM)による解析も行う。 得られた熱電物性の値(S,σ,κ)と、バンド計算(Wien2K)およびボルツマン輸送方程式(Boltz trap)による計算値と比較しつつ、Ba2NaNb5O15中のNaのκについて考究を行う。最終的には、上記ハーマン法を原理とするZTメータを用いて、動的・スモールポーラロン生成メカニズム解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ba2NaNb5O15のセラミックスの熱電特性について、国際会議での発表を積極的に行った。発表と同時に、国際会議では、著名な酸化物・熱電材料の研究者の研究を拝聴することが出来た。特に、本研究の実施で参考にしたタングステンブロンズ型材料(SrxBa1-xNb2O6)の熱電特性や熱伝導率(κ)を低減できる針状材料についての研究指針を再確認した。本研究の研究指針は、現状で大きく誤っていなことを確認した。 試料作製条件について、さらに研鑽を進め試料の微細構造を改めて、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で確認した。針状結晶粒の長さを確認し、より一層特性を向上させるために試料作製条件を再検討している。得られた熱電特性については、バンド計算と測定データの比較を出来るように、ホッピング現象の基本式である:Heikes式を発展させた、Gasumyants eq.によるカーブフィティングを行い、有意なパラメターを抽出できるようにした。 今回、新たに導入したバンド計算ソフト(Wien2K)およびボルツマン輸送方程式(Boltz trap)の計算結果と測定データの比較を行い、スモールポーラロンの生成メカニズムの解明を行う。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 酸化物熱電材料:Ba2NaNb5O15の熱電特性の取得を行い、特性の向上を目指す。この材料の熱電特性の本質はホッピング伝導であるので、試料内で針状結晶がより長さを増すように、試料作製条件を再検討する。 2. 無次元性能指数(ZT)および熱伝導率(κ)の取得のために、準備しているハーマン法による測定を進捗させる。 3. ホッピング現象の基本式である:Heikes式を発展させた、Gasumyants eq.によるカーブフィティングを行い、有意なバンド構造・パラメターを抽出する。 3. バンド計算から、バンド構造およびボルツマン輸送方程式(Boltz trap)から求まるゼーベック係数(S)、導電率(σ)、κの取得を行い、実験データと比較する。 4. Ba2NaNb5O15中のNaのκがどこまで減じることが出来るかを視点に調査を行う。 5. 上記の基礎データより、スモールポーラロンの生成メカニズムの解明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、引き続き研究の継続を行い、研究成果の国際会議での発表および論文投稿を考えている。 米国材料学会(Material Research Society ボストン)出席 応用物理学会(都内)出席 論文投稿費用
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Research Products
(8 results)