2013 Fiscal Year Research-status Report
多孔ガラスを結晶生成の場とする新規導電性ガラスセラミックスの創製
Project/Area Number |
25410243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
矢澤 哲夫 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50347522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺重 温 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00285339)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多孔質ガラス / ガラスセラミックス / 導電性 |
Research Abstract |
1.多孔質ガラスの作製 ガラスを粉末状にし、当該粉末ガラスを、ガラス転移点以上の温度で融着するパート・ド・ヴェール法によって多孔質ガラスを作製した。まず、石英ガラスをハンマーで砕き乳鉢で粉砕後、ボールミル粉砕を48時間行い、SiO2粉末を作製し、当該粉末と、開孔剤(でんぷん等)をそれぞれ重量比1:1で混合粉砕し、25kNの加重で1分間プレス成形を行い、ペレットを作製した。試料を大気中で1500℃、5時間、焼成した。2.多孔質ガラスの細孔状態 アルキメデス法による測定により、当該多孔質ガラスの密度は1.77 g / cm3、空隙率は20 % 程度であることが分かった。SEMによる観察を行い、多孔質ガラスに1μm程度の細孔があることが確認された。BET法による比表面積は1.57m2 /g程度であった。 3.ランタンシリケートの細孔中での生成 テトラエチルシリケートを含む、種々な導入法を試みたが、以下の方法がもっともLSOの生成が多かった。即ち、La(NO3)3・6H2O:エタノール=5:24のモル比で混合した溶液を2時間攪拌を行った。当該溶液を多孔質ガラスに対し減圧下で1時間含浸を行った。含浸後、試料を溶液から取り出し、室温で30分乾燥させた。乾燥させた試料を500 ℃、2時間保持にて仮焼、1000 ℃、2時間保持で本焼を行った。ほぼ単相でLSOが生成することをX線回折測定によって確認した。 4.導電率の測定 得られた試料の両面に銀ペーストを塗布し、自然乾燥させ、これを電極とし、LCRメータを用い、500℃~800℃、5MHz~50Hzの範囲の条件で2端子交流インピーダンス測定を行った。logσ/Scm-1で-3.3程度の導電率が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.多孔質ガラスの作製及び細孔状態 石英ガラスを数ミクロンのサイズに粉砕し、融着によって、多孔質ガラスを作製する点に関しては、当該粉末と、開孔剤(でんぷん等)をそれぞれ重量比1:1で混合粉砕し、25kNの加重で1分間プレス成形を行い、試料を大気中で1500℃、5時間、焼成することによって作製が可能となった。また、アルキメデス法による測定による、当該多孔質ガラスの密度は1.77 g / cm3、であることから、空隙率は20 % 程度であることが分かった。SEMによる観察を行い、多孔質ガラスに1μm程度の細孔があることが確認された。以上のことより、空隙率は、当初の設定より、やや低いが、ほぼ目的とする多孔質ガラスが得られていると考えられる。 2.ランタンシリケート(LSO)の細孔中での生成 Si(OCH3)4 、La(NO3)3 等を出発原料として用い、LSO の組成に調整されたゾル液を当該多孔体に導入し、加水分解を行いゲル化した後(ゾルゲル法)、焼成することにより多孔質ガラスの細孔内にLSOを形成することを目的としていたが、500 ℃、2時間保持にて仮焼、1000 ℃、2時間保持で本焼を行うことにより、ほぼ単相でLSOが生成することをX線回折測定によって確認したことにより、ほぼ目的は達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.LSOの導電率の向上 昨年度、logσ/Scm-1のスケールで-3.3程度の導電率が得られているが、更なる導電率の向上に向けて、作製方法の検討を行うと同時に、燃料電池の電解質として用いるための緻密性の向上についても併せて検討を行う。 2.LSOの配向性の制御 酸素雰囲気中で結晶化させることにより、LSO 中に、酸素アニオンを積極的に導入しながら結晶化することによって、LSO のc軸方向への配向性についても検討する。 3.チタニアにニオブをドープした導電性結晶の担持体の作製 パート・ド・ヴェール法によって得られた多孔状態のガラス成形体に、Ti(OC3H7)4にNb(NO3)5を加えたゾル液を導入し加水分解によってゲル化した後、300℃~400℃にて焼成することによりNbドープアナターゼ型チタニアを作製し、その電子伝導性を検討する。また、当該多孔質ガラス成形体に電場をかけ、電子を注入しながら、電子導電性ガラスセラミックスを創製することも併せて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LSOの作製や結晶配向のための、雰囲気調製焼成炉(95万円)を考えていたが、空気中での焼成によっても、ひとまづLSOが生成することが確認できたこと、及びもう少し予備的にLSOの結晶生成の因子を空気中での焼成において詰めておく必要があったので、昨年度は、当該焼成炉を購入しなかったことが主たる理由である。 今年度は、昨年度の知見を参考にし、LSOへの電場によるイオン注入や電子伝導性結晶への電子注入をも併せて可能な結晶生成の方策について検討を行いたい。
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Research Products
(6 results)