2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ酸リチウムを還元して導かれる新しい導電性酸化物の電気的・光学的性質
Project/Area Number |
25410244
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
露本 伊佐男 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (60282571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分離 / 還元 / リサイクル / ホウ酸 / 水素 / 導電性酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
非晶質のホウ酸ナトリウムを900℃以上の水素中で還元することで,抵抗率の低い新しい導電性物質が生成することを見出していたが,本研究の新たな実績として,ホウ酸ナトリウムがフラックスとして作用することにより,典型金属の酸化物に固溶体として微量に含まれるコバルト,鉄などの元素が水素雰囲気中で還元が促進され,金属単体として表面に析出することを見出した。 ホワイトポルトランドセメントを試料に用いた結果,極微量含まれるレアメタルの還元析出現象が示唆された。蛍光X線分析により,ホワイトポルトランドセメントの酸化物組成を測定したところ,主成分の酸化カルシウム52.29%,酸化ケイ素19.79%,酸化アルミニウム6.65%をはじめとして,微量成分としては酸化マグネシウム1.21%,酸化鉄(III)0.076%,酸化チタン0.071%,酸化クロム(III)0.036%,酸化インジウム0.022%,酸化ジルコニウム0.0036%などが検出された。これらのうちエリンガム図から,熱力学的に還元析出が予測される酸化鉄(III)と酸化インジウム(III)に着目し,実験を進めた。ホワイトポルトランドセメントに非晶質ホウ酸ナトリウムを添加し,950℃の水素雰囲気で還元した結果,ホワイトポルトランドセメントが黒色に変色した。粉末X線回折パターンには,金属インジウムのピーク位置に微小なピークが観察された。0.022%と微量に含まれるインジウムを金属として還元分離できたことを示唆している。これらの知見は固体廃棄物中に微量に含まれるレアメタルをフラックスの添加により,還元分離できることを示唆している。今後は,レアメタルを含む粘土などを試料に用いて,還元析出現象を体系的に整理する予定である。
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