2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25410249
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 純 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50250709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電気化学発光トランジスタ / 発光トランジスタ / 電気化学トランジスタ / 電気化学発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
発光ディスプレイを駆動するためには有機発光ダイオード(OLED)だけでなく有機薄膜トランジスタ(OTFT)が制御用に必要である.それらを一体化させた有機発光トランジスタ(OLET)の開発が精力的に行われている.これまで我々は電気化学発光素子(LEC)と電気化学トランジスタ(ECT)についてそれぞれ独立に研究を行ってきた.LECはOLEDと比較して,陰極に大気下でも安定な材料を使用でき,簡素な作製プロセスなどの利点をもつ.またECTはOTFTよりも大幅に低い電圧で駆動できるという利点をもつ.本研究では,これらLECおよびECTを組み合わせることにより,新規な電気化学発光トランジスタ(LECT)の動作原理の実証を行った. 発光は,Ru錯体の1価(Ru(I))と3価(Ru(III))がS,D電極上でそれぞれ生成し,それらが電子交換反応により2価の励起状態(Ru(II)*)となり,それが放射失活する際にのみ得られる.この条件を満たすためには,VDSはRu(I)とRu(III)の酸化還元電位差2.6Vよりも大きい必要がある.VDSが2.6V未満の場合,輝度は1cd/cm2以下となり,一方,2.6V以上では,10cd/cm2近くまで上昇した.VDS=2.7V一定においてVGを変化させると,三つの領域に分かれた.VGが1.2V vs. Ag/Ag+以下では,輝度は指数関数的に減少した.これはS電極上でRu(III)が生成されないためである.同様にVGが1.4V vs. Ag/Ag+以上でも,輝度が減少した.こちらはS電極でRu(III)は生成されるが,D電極においてRu(I)が生成できない電位となるためである.その間のVGが1.2V以上1.4V以下において定常的な発光が得られ,S,D電極上においてRu(III)とRu(I)がそれぞれ生成したため,Ru(II)*からの発光が得られたことになる.
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