2013 Fiscal Year Research-status Report
リチウム二次電池におけるマンガンベース正極材の電極反応メカニズムの解明
Project/Area Number |
25410256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小澤 清 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (90343855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リチウム二次電池 / マンガンベース正極材 / 電極反応メカニズム |
Research Abstract |
電極反応メカニズムを解明する上で、反応にともない変化する活物質の構造を明らかにすることは極めて重要である。本年度、本研究では、マンガンベース正極材の一つであるLi2MnO3(空間群: C2/m)について、充放電反応にともなって変化する構造を調べた。解析は、系統的に充放電条件を変えて作製した試料をいくつか準備し、XRD、高分解能TEM、中性子回折(J-PARC)の他、STEM観察によって得たデータを基に行った。以下、本年度得られた成果について記述する。 i) Li2MnO3では、固溶体系化合物(Li2MnO3-LiCoO2)で観察されたc軸方向に垂直な積層欠陥はほとんど観察されない。 ii) 充放電反応が進むにつれて、粒子表面で、MnサイトにLi原子が挿入する現象が観測される。このような挿入は、充放電条件とも関連し、サイクル回数が増えるほど、また充放電の上限電位が高いほど、より深い粒子内部まで観察される。 iii) 充放電反応によって、単斜晶構造(空間群: C2/m)の他、スピネル構造(空間群: Fd-3m)、及び菱面体構造(空間群: R-3m)構造が共存する領域が確認できる。R-3mの構造の出現は、充放電ともなう酸素欠損の生成と関連していると考えられる。現在、中性子回折のデータを基に、これらの定量的な研究を行っている。 Li2MnO3正極材は、サイクル回数が増すに従って充放電容量が増すとい特異な充放電挙動を示す。これは、充放電反応にともない酸素欠損が生じることに起因すると考えられているが、詳細は明らかではない。本研究で得た成果は、Li2MnO3を含めたマンガンベース正極材のメカニズムの解明に寄与するものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電極反応メカニズム解明には、反応にともなって変化することが予想される正極材の構造に関する知見を得ることが重要である。リチウム二次電池正極材の構造変化を明らかにする上で、STEM及び中性子回折測定は有効である。本年度、STEMに関しては研究代表者の所属する共有設備のもの、中性子回折に関してはJ-PARCのビームラインを利用することが可能であった。これらの利用は本課題の研究推進に寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、構造変化に関する知見は定性的なものである。今後、STEM及び中性子回折データを詳細に検討し、酸素欠損を含む定量的な構造変化に関する知見を得ることを予定している。さらに、これらの結果は、電極反応メカニズムと関連させて考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本使用額は中性子回折実験(J-PARC)のための国内出張旅費として予定していた。出張は平成26年度3月の数回を予定していたが、J-PARC側の都合で実験回数が減り、次年度に使用することにした。 平成26年、5月以降、中性子回折実験のための国内出張旅費として、使用を予定している。
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[Journal Article] Band structure, magnetic, and transport properties of two dimensional Compounds Sr2-xGdxCoO42013
Author(s)
Q. W. Yao, X. L. Wang, H. Kimura, S. X. Dou, K. Konstantinov, Z. X. Cheng, F. Hong, H. Y. Zhao, and K. Ozawa
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Journal Title
Journal of Applied Physics
Volume: 113
Pages: 17B522-1-3
DOI
Peer Reviewed
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