2013 Fiscal Year Research-status Report
水素脆化抑制に及ぼす微量元素添加効果の解明と安全性評価手法の確立
Project/Area Number |
25420006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鴻巣 眞二 茨城大学, 工学部, 教授 (90091686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀辺 忠志 茨城大学, 工学部, 教授 (50141867)
森 孝太郎 茨城大学, 工学部, 助教 (40712740)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破壊力学 / 水素脆化 / 破壊じん性 |
Research Abstract |
H25年度の研究実施計画においては、鉄基材料であるCr-Mo鋼に対して(1) 微量元素添加による水素脆化トラップ・サイトの解明、(2) 水素脆化破壊じん性値の簡易評価手法の確立と微量元素添加による影響の解明、(3) 水素助長割れ進展特性評価手法の確立と微量元素添加による影響の解明、(4) 試験片からの水素逃散挙動の解明、を挙げた。 (1) として、微量元素としてバナジウムを約0.3%添加した場合には、旧オーステナイト粒内に微細に分布するバナジウム・カーバイドが水素のトラップ・サイトであり、旧オーステナイト粒界が水素のトラップ・サイトとなるバナジウム無添加の場合と異なることを、昇温水素離脱反応および電界放出型電子線マイクロアナライザーにより明らかにした。(2)として、オフセット・ポテンシャルドロップ法を提案して、単一試験片での破壊じん性値を簡便に求める方法を確立した。この方法は負荷荷重の増加に伴うき裂先端での塑性変形によるポテンシャルドロップ変化をキャンセルする方法であり、これにより得られるオフセット・ポテンシャルドロップが増加する点を安定き裂進展開始点として、そのときのJ積分値より破壊じん性値Kを導いた。この方法により求まるバナジウム添加による破壊じん性は水素吸収していない場合に比べて約85%の低下に止まり、バナジウム無添加による場合の約25%の低下にくらべて、バナジウムの微量添加が劇的に水素脆化感受性の低減となることを明らかにした。(3)の延性破壊抵抗性に対する材料特性指標として使用される安定き裂進展抵抗特性dJ/daを実験による求めバナジウムの微量添加による効果を明らかにした。(4)に対しては、Ficksの拡散方程式により試験片寸法の水素逃散挙動への影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初掲げた実施計画はほぼ達成されている。水素脆化トラップサイトとして、バナジューム無添加鋼では旧オーステナイト粒界で、バナジューム添加鋼では粒内微細バナジューム炭化物であることが、昇温水素離脱反応および電界放出型電子線マイクロアナライザーにより明らかとなった。水素脆化の有無に係わらず単一試験片を用いて破壊じん性を実験的に導く手法を確立した。海外国際会議にて一部その成果を公表している。海外の研究者からも新しい試みとして注目されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、当初の実施計画の通り行う。水素脆化環境で使用される装置の安全評価を行うためには、水素助長割れの進展特性を知る必要がある。そこで平成25年度に確立したオフセット・ポテンシャル・ドロップ法を用いて一定荷重下での一定荷重下での水素助長割れ進展特性を明らかにし、海外国際会議にて公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費を効率的に使用したことにより、少額の残(41,471円)が発生した。 次年度の消耗品購入費に加算して使用する計画である。
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Research Products
(2 results)