2013 Fiscal Year Research-status Report
膝関節のキネマティクスと接触メカニクスの統合評価システム
Project/Area Number |
25420009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 公一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70296317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 裕治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60143020)
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
坂本 信 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80215657)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体力学 / 関節運動 / 膝関節 / MRI / 3次元評価 / ボリュームレンダリング |
Research Abstract |
関節バイオメカニクス分野では2次元のX線画像に3次元骨形状モデルを重ね合わせることで骨の空間位置を生体内(in vivo)で測定し,関節アライメント,膝関節の動作解析および関節軟骨の接触動態評価を行う研究が数多く報告されている.これらの研究ではCTスキャンもしくはMRIスキャンデータから再構築した骨・軟骨形状モデルを必要とするが,CTスキャンに関しては骨組織の描出能に優れるものの放射線による被曝の問題がある.MRIスキャンについては,被爆がないものの骨組織の描出が出来ないので,骨形状モデルを作成するためにはスライス像ごとに周囲の軟部組織との境界を手動でセグメンテーションする必要があり,これに多大な労力を要している.また,モデルの精度もCTデータから構築した場合より劣るという問題がある.そこで本研究課題では,MRIスキャンから得られるボリュームデータをそのままレンダリングしてX線画像とイメージマッチングし,骨の空間位置を測定する方法について検討することを目的とした.これにより,MRIスライスデータごとのセグメンテーション作業を省くことができ,さらにMRIデータには関節軟骨や靱帯,腱の画像情報も含まれているので,これら組織を含めた膝関節のバイオメカニクスについて検討することが可能となる.平成25年度は,骨空間位置測定の精度について検証するため、ヒト切断膝を用いた生体外実験を行った.3次元測定器により求めた大腿骨と脛骨の相対位置を真値として,MRIボリュームデータのレンダリングと2方向X線画像との重ね合わせにより求めた値と比較した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRIスキャンから得られた膝関節部のボリュームデータをレンダリングすることにより,X線画像と十分比較可能な骨画像を表示することが可能となった。これにより,従来法のようにMRIスライス画像において骨領域を手作業でセグメンテーションする必要がなくなり,大幅な労力低減に繋がることがわかった。 MRIボリュームデータのレンダリング結果と実際のX線画像を手動で重ね合わせることで,大腿骨と脛骨の相対位置を求めたところ,CT骨形状モデルを用いた従来法と比べやや精度の低い結果となったものの,レンダリングアルゴリズムを改良することでより骨輪郭を明瞭に表示し,重ね合わせを自動化すれば精度向上につながることが分かり,次の課題が明確になった。 この結果を受け,ボクセル値に重み付けしたレンダリングアルゴリズムの開発と,レンダリングレンダリング結果とX線画像を自動で重ね合わせるための手法として,従来用いられている画像相関法を試行し,その有効性を検討している。 さらに,ボリュームデータのレンダリングを高速化するため,画像処理ユニット(Graphic Processing Unit : GPU)を導入し,専用開発コードCUDAを用いたプログラム構築を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,25年度で明らかになった課題を解決するため,骨輪郭明瞭化のためのレンダリングアルゴリズムの開発と重ね合わせの自動化を実施する。 さらに,ボリュームレンダリングを高速化するため,画像処理ユニット(Graphic Processing Unit : GPU)を導入し,専用開発コードCUDAを用いたプログラムを構築する。 次に,関節における軟骨の接触状態を評価するためのアルゴリズムを開発する。すなわち,重ね合わせ画像において大腿骨軟骨と脛骨軟骨の接触を定義する手法を確立し,軟骨同士の干渉量を定量的に求める。この干渉量を境界条件として,有限要素法により接触応力を算出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MRIスキャンデータの容量が当初予定より小さく,データ保管用メディアに余裕が生じたため。 解析データ保管用メディアの購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)