2013 Fiscal Year Research-status Report
配管減肉での超音波ガイド波の伝搬挙動解明と減肉形状推定法の提案
Project/Area Number |
25420021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西野 秀郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (50316890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超音波計測 / 非破壊検査 / ガイド波 |
Research Abstract |
ガスや液体物の輸送に利用されている莫大な数の配管を,安心安全に維持するために,減肉や劣化の早期発見が必須である。これらの欠陥検出には,超音波による方法が有用だが,一度の検査範囲が狭く(超音波で一カ所あたり数cm2の範囲)非効率な点が問題である。本件の超音波ガイド波(以下,ガイド波)は,配管の長手方向に長距離伝搬する超音波で,一度の送受信で広い範囲の欠陥検出を効率的に実施できる。広域検査性が高く実検査に利用されているが,波動論的に未解明の部分も多く,欠陥サイジングなどの定量性の改善が本研究でのテーマである。 本研究代表者は,ガイド波を用いた配管の欠陥のサイジングの研究に置いて,軸対称欠陥においては数学モデルによって欠陥形状の推定を可能とする方法の提案を行ってきている。本研究では,これを高度化することをその目的としている。すなわち,一般的な欠陥として3次元(配管の長手方向,肉厚深さ方向,円周方向)に任意に存在する欠陥を想定し,その波動論的な挙動を解明し,その結果の考察により欠陥形状の推定方法の構築を目指すものである。 前記の様に,軸対称な欠陥までは一定の成果を得ており,ここでは円周方向に欠陥が分布した場合の挙動の解明が重要である。本研究では,主に円周方向に欠陥が分布している場合の挙動を解明することを目的としている。 具体的な実施策として,種々の円周方向に分布している欠陥での反射挙動と軸対称欠陥との比較を行っている。本年度の成果として,円周方向に分布する欠陥において,円周ガイド波の一種である円周SH板波が発生し,特定の周波数において共鳴が発生することを確認した。このことは非常に重要な成果である。共鳴現象の発生する周波数と円周方向の大きさに相関関係が存在すれば,円周方向の大きさの推定に利用できる可能性を秘めている。本年度は,共鳴現象の確認を中心に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円周方向に分布している欠陥での実験に置いて,探傷に用いるT(0,1)モードのガイド波が欠陥部において円周SH板波に変換され共鳴が発生することを,初めて見いだした。この件は実験的なデータの検証を考察に加え,大規模超音波伝搬シミュレーションを用いることで実現している。これらは,当初の計画にはなかったことであり,大きな成果である。ここでは,欠陥が貫通している場合と貫通していない非貫通の場合で挙動が異なることをも確認しており,波動の反射現象に置ける境界条件の差異が原因であると思われるが,単純な波動モデルで得られる共鳴周波数とは一致しておらず,更なる検討が必要である。 一方で,上記現象の解明のための実験の増加や,波動伝搬シミュレーションの実施により当初計画の実施事項が十分に行えなかった。当初は,人工欠陥として計画では32種類を作成し,実験的にその挙動を明らかにすることとしていた。現時点では,半分の16種類の欠陥に対しての実験しかえられていない。しかしながら,上記に記載した様に,新しく重要な結果が得られ,その検証に時間が費やされたことで,順調に進展している以上の達成度であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに発見した円周方向に分布している欠陥において発生する円周SH板波の現象解明のための実験として,円周方向長さの異なる申請書に示した6種類以上の欠陥(周方向の欠陥存在角度T = 10度, 30度, 60度, 90度, 150度,180度)を用いて,共鳴周波数が異なるかどうかの検証実験を行いたい。合わせて大規模シミュレーションを行うことで,実験の合理的な解明も進める。加えて,貫通傷と非貫通傷に置ける共鳴現象の差異を実験とシミュレーションから考察する。 一方で,初年度に実施できなかった人工欠陥に置ける欠陥反射率の計測は完了させることで,軸対称欠陥との差異を明らかにする。反射率の計測は,基本モードであるT(0,1)モードと高次モードであるT(1,1)モードで実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に納品となる物品があり,支払いが完了していないため。 4月中に支払いが完了する予定。
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Research Products
(3 results)