2013 Fiscal Year Research-status Report
熱可塑性CFRP積層板のせん断切断機構の解明と最適化
Project/Area Number |
25420022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
黄木 景二 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (70281194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 損傷力学 / 熱可塑性CFRP / せん断切断 |
Research Abstract |
まず,高速度カメラを用いたその場観察切断試験システムを構築し,切断中の様子を動画観察することができた。次に,光学顕微鏡,軟X線撮影装置を用いた切断損傷の定量評価法を確立することができた。FEM解析によるマクロ切断シミュレーション法については,陽解法によるモデリングを行った。実験としては,一方向プリプレグからプレス成形した熱可塑および熱硬化CFRPクロスプライ積層板について,3種類の切断刃(A,B,C)を用いて,二つの積層板の温度およびクリアランスがせん断切断挙動に及ぼす効果を調べた。切断面近傍の加工損傷と切断面の形状を定量的に測定し,最適な切断条件を議論した。以上より以下の知見が得られた:(1) 切断刃B,Cのようにシャー角,刃先角を持たせた方が切断に必要なせん断応力が小さくなるため,損傷が小さく,切断面の品位が高い。(2)ガラス転移点近傍以上の温度では樹脂が軟化し,切断に必要なせん断応力は低下するとともに,層間破壊じん性が上昇するものの,切断面のダレとそれに起因する層間はく離が顕著である。その結果,本熱硬化性CFRPではガラス転移点以下,室温以上の温度が最適な切断温度である。(3) 一定以下の値であれば,クリアランスが加工損傷に及ぼす効果は小さいが,クリアランスがあまりに小さいと切断荷重が高くなり,工具寿命が短くなる可能性がある。(4)熱可塑性CFRPは成形条件とくに冷却条件によってせん断切断に要する荷重が異なる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速度カメラを用いたその場観察切断試験システムについてはカメラ(別途レンタル)を用いた動画撮影に成功している。また切断損傷の定量評価法については,画像処理ソフト(本研究経費で購入)を用いて,断面および内部の損傷を定量的に測定評価する手法を確立したが,超音波検査がまだ行われていない。FEM解析によるマクロシミュレーション法については,陽解法(Explict)を用いてユーザーサブルーチンを適用して計算モデルを作ることができたが,損傷の再現精度の向上が必要である。以上を総括すると,実験については,熱可塑性CFRPの成形法をゼロからスタートし,切断試験とその評価法まで確立した点は予想以上に研究が進展したが,観察の一部未実行と数値シミュレーションに課題が一部残っているめ,上記のような達成度であると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は熱可塑性CFRPのみならず,特性が明らかとなっている熱硬化性CFRPを対照サンプルとして用いて研究を行った。熱可塑性CFRPの成形法および実験法が確立した今後は,熱可塑性CFRPのみに焦点を絞り,熱分析によるガラス転移点正確な測定と最適切断温度の探索を続ける。25年度の研究を通して,プレス成形時の成形圧力(1.7~5MPa)および切断時のクリアランスが加工損傷・加工品位に及ぼす影響が大きいことが明らかになったため,支配パラメータとして,この2点に特に着目して最適条件を探索する。一方,数値シミュレーションについては,FEMによる解析精度を向上させるとともに,FEMでは再現しきれない現象については,当初の予定通り,粒子法によるマクロ切断解析法を確立する。
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