2014 Fiscal Year Research-status Report
3次元き裂伝ぱ解析に基づくレーザープレーニング機序の解明と実用化
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25420023
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
才本 明秀 長崎大学, 工学研究科, 教授 (00253633)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | き裂進展 / ぜい性破壊 / 熱応力 / レーザー加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は材料の表面近くを進展するき裂がなぜ安定成長できるのかを解明することを主眼として、2次元の準定常状態を想定して半無限き裂の応力拡大係数を解析した。最も単純かつ基本的な移動熱源として等速度で表面に沿って移動する移動点熱源を考え、熱源が作る熱弾性場が準定常状態に達しているとし、表面と平行な半無限き裂を想定した。き裂先端の位置を種々に変えて応力拡大係数を解析したところ、移動熱源の後方と前方に位置する2つの狭い領域にき裂先端があるときには(1)モードIIの応力拡大係数がゼロとなること、および(2)モードIの応力拡大係数がガラスの破壊じん性値に等しくなること、の2条件を満たすことを見出した。さらにき裂の安定成長を考慮すれことによって、き裂先端が熱源のわずか前方にあるときには安定なき裂進展が生じ得ることを解析的に明らかにした。次にレーザープレーニングの初期と、終盤期に生じるき裂進展の不安定化メカニズムを明らかにするために、移動熱源を差分的に近似してき裂先端の位置と応力拡大係数の分布を解析した。き裂進展が初期と終期で不安定になる直接の原因はき裂進展方向と垂直に存在する自由境界であることが明らかとなったが、不安定き裂進展を安定化させる方法について、さらに研究を重ねる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザープレーニング現象が継続的にかつ安定的に生じ得る破壊現象であることを解析的に明らかにし、進展中のき裂先端と加熱点の位置を力学的に推定できることを示した。ソーダガラスを例にすると、熱源移動速度が200mm/s程度の場合には、き裂は表面から30ミクロンほどの深さを、熱源より10~15ミクロンほど先行して進展していることが分かった。なお、熱源の移動速度が速くなるほどき裂先端が表面に近づく傾向も解析的に示すことができた。3次元解析の着手がやや遅れているが、27年度の中期には伝ぱ解析を完了し、レーザープレーニング現象の力学的メカニズムを解明できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず2次元問題の範囲において、プレーニングの初期、すなわち、きっかけとなる予き裂が存在しない状態におけるき裂の不安定発生と、プレーニングの終期、すなわち、進展してきたき裂が進行方向に直交する自由表面に達する瞬間の不安定進展のメカニズムを明確にし、不安定進展が安定化されるような方法が存在しないかを考察する。次にき裂を3次元として移動熱源が作る熱弾性場を進展させる数値シミュレーションシステムを完成させ、レーザープレーニング現象を利用して材料表面の改質が可能な新しいレーザー加工装置の開発のための基礎を固めたい。
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Causes of Carryover |
支払い請求額1,100,000円に対して、使用額は1,099,868円であり、132円の差額(繰り越し)が残った。できるだけ有効に使おうと消耗品の購入を考えたが、本研究のために利用できる物品を購入するには残金が少なすぎたため次年度使用額として残すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は研究成果のまとめと公表(学会旅費と論文掲載費)とに研究費を使う予定であり、確実に残金が無くなるよう計画的に使用する。
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Research Products
(4 results)