2014 Fiscal Year Research-status Report
電気泳動堆積法による傾斜機能圧電セラミックスの成膜とその寿命評価
Project/Area Number |
25420028
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
楠川 量啓 高知工科大学, 工学部, 教授 (60195435)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 圧電セラミックス / 電気泳動法 / 多層成膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気泳動堆積プロセスによる堆積量の増加および高密度化,また多層化についていくつかの成果を得た。昨年度はセラミックス粉を分散させる溶液としてエタノールを用いて,その堆積量が最適となる条件を見出したが,堆積後の乾燥時に表面にき裂などの欠陥が生じる問題点が残った。これはエタノールの蒸発時間が短く均一な乾燥が困難なためであった。今年度,精製水を用いた方法でプロセス条件の検討を行った。水系溶液を用いることで,ひび割れ等の欠陥生成は防ぐことが可能であったものの,堆積量はエタノールの場合に比べ劣ることがわかった。堆積量を増加させるには印加する電圧を大きくする必要があるが,高電圧による電気分解により気体が発生し気泡が生じ十分な圧電体膜を成膜することが困難であった。 上記問題点の解決方法として矩形波状の電圧印加を採用することとし,その周波数あるいはデューティ比などの条件を調査した。その結果,0.3 Hz 以下でデューティ比30 % の矩形波交流電圧を用いると良好な成膜が可能でかつ成膜効率が高くなることがわかった。 これらの知見により,市販のPZT仮焼粉と研究室で作製したリラクサ強誘電セラミックス Pb(Ni1/3Nb2/3)0.55(Ti0.7Zr0.3)0.45O3 の2層材の焼結に成功した。圧電体としての特性評価にはまだ着手できていないが,多層成膜に成功したことは材料の傾斜機能化に向けての成果といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
電気泳動法による成膜において,堆積層の質および量に関わる問題点が想定以上に多くあり,その解決に時間を要している。プロセスの諸条件をシビアに制御しなければ再現性も向上しない。以上のことにより堆積条件の確立という点で当初の研究計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2層材の成形,焼成に成功したので引き続き3層以上の多層材成膜を行う。また,焼成した材料について機械的および圧電的特性評価を行う。
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Research Products
(2 results)