2015 Fiscal Year Research-status Report
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25420046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 康幸 東京大学, 生産技術研究所, 技術専門員 (20396906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 健介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80345173)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メディア砥粒 / 複合めっき / 砥粒分散 / スパイラル気孔 / 充填剤 / 平滑化 |
Outline of Annual Research Achievements |
スパイラル構造を基材としたメディア砥粒工具の開発を行ってきた。開発の目的は、ガラス等の脆性材料を機械研磨する際に問題になる砥粒径のバラツキによるスクラッチを抑える工具を開発し、機械研磨の代替加工につなげたい。そのために、バラツキのある砥粒に弾性を持たせたメディア砥粒の固定工具を開発した。一方でメディア砥粒の固定化は、電着層にランダムな有限の気孔が形成されるため、切屑の目詰まりが発生する。これもまた、スクラッチの原因となることから、電着時に得られた気孔は全て樹脂等の充填剤で埋める必要がある。この2点を考慮した気孔充填形メディア砥粒工具を提案し、粗面ガラスの鏡面加工を試みた。メディア砥粒には、樹脂にセリアを埋め込んだタイプとNi粒子にセリアを電着した2種類が有効であるが、気孔の充填剤をサポートする電着層には、弾性より強度が求められることから、後者のNiとセリアのメディア砥粒を選定した。研磨抵抗12-14N、切込み量(1um/1回)、工具送り100um/sで繰り返し加工した結果、梨地面のガラスをすべて鏡面加工できた。工具送りを3um/sにすれば、粗さはさらに向上する(Ra4nm)。充填に使用したφ4-6umのダイヤで梨地面のトランケートが進行し、粗さの向上に伴って充填層は平滑化された。この平滑化に伴い、研磨抵抗は分散し、イオン交換水とセリア砥粒およびガラスの化学的作用が顕著になり、鏡面化できたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で提案した工具は、充填層の平滑化により不均一な砥粒(φ5-12um)でも均一化が可能となったこと。気孔の目詰まりを除去するために、ケミカル作用を発揮させる充填剤を使用すれば、粗面ガラスを鏡面化できること。また、Ni-セリアのメディア砥粒は、電着層および充填層のサポート剤として有効であることなどがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
メディア砥粒工具の研究成果を国外で発表する。10月にエントリーしたeuspen2016(UK)は採択されたため、H28年の5月30日~6月3日の会議に参加し発表する。 今後は、得られた成果をソーワイヤの工具開発に応用したいと考えている。高額部品等の希少材料を無駄なく有効に活用するためには、高精度加工時の研磨代や切断代を最小限に抑えることのできる加工技術の開発が必要である。脆性破壊させながら切断する現在の切断ワイヤ工具は、能率が高い分、除去量も非常に多い。切断面は梨地面であり粗さは非常に悪い。鏡面化するまでの除去量も必然的に多くなってくる。逆に、能率を下げて粗さを優先させても、砥粒層の対策がないため、クラックフリーの鏡面化は不可能である。切断幅の最小化と鏡面化が可能なソーワイヤの工具開発を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究成果をeuspen2016で発表するためである。会議は2016年の5月30日(月)-6月3日(金)、イギリスのノッティンガムで開催される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
euspen2016に参加するための費用(航空運賃・学会参加費など)に充てる。
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