2015 Fiscal Year Annual Research Report
微細表面テクスチャを有する低侵襲医療用工具の開発に関する研究
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25420053
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 俊之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20403149)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 研削加工 / 医療機器 / 外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,外科手術の分野では,骨組織切除時の発熱による神経侵害および皮膚・筋膜切断時の該部位へのダメージ生成が大きな問題となっている.そこで本研究ではまず,発熱の要因を明らかにするために,骨切除用工具として市販の医療用工具,すなわちダイヤモンドバーと呼ばれる小径のボールエンド型の軸つきダイヤモンドホイールを用いて牛大腿皮質骨の切除実験を行った.ここで加工機械としては精密な位置決めを可能とするマシニングセンタを用い,切除中の加工抵抗を三分力動力計により,また切除点近傍の温度を熱電対により測定した.その結果,骨の主たる構成成分であるヒドロキシアパタイトとコラーゲンが発熱に大きく影響を及ぼすことがわかった.具体的には,それら成分と発熱抑制を目的に術部に供給される冷却水中の水分等とが反応することで骨の切りくずが切除用工具の表面に強固に付着し,こうした砥石目づまり状態となることで切除時に急激な発熱が生じることがわかった. そこで骨切除時に工具表面に水分が付着することを抑制するために,フッ素系樹脂をバインダに用いてポリテトラフルオロエチレン (Polytetrafluoroethylene, PTFE)微粒子を表面に被覆した工具を作製した.ここで,PTFE微粒子入りフッ素系樹脂を微細なテクスチャ状にして工具表面に塗布,固定することで,テクスチャ内に形成される空気層により,水分付着抑制の効果をさらに高めるようにした.その結果,骨切りくずの工具表面への付着をほぼ完全に防ぐことができ,骨切除時の発熱を抑制することに成功した.なお,繰り返し切除実験を行ったところ,数回の実験後には工具表面に固定したフッ素系の被覆層がほぼ消失した.今後は,その被覆層の耐摩耗性,耐剥離性を実用レベルに高めることを検討する.
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Research Products
(1 results)