2014 Fiscal Year Research-status Report
歯科技工士が現有の作業場に簡単に導入可能なオールセラミック義歯製造技術
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25420054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90284158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オールセラミックス義歯 / ネットシェイプ成形 / 審美性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度に引き続き,プロセス全体の確立を目指して一連の研究を行った.その結果,高純度アルミナ素材のオールセラミックス義歯に関しては,ほぼ完全に形状を転写しながら密度99%まで焼結緻密化した義歯を得ることが出来た.
昨年度と異なる点としては,昨年度まではストレスフリー離型として,3Dプリンターによるシェル樹脂型を離型するさいに,型と成形体を一緒に加熱して熱分解によって離型する方法をとっていたが,この時点で型の熱分解ガスからコンタミネーションがアルミナ成形体に対して生じ,これにより著しい焼結緻密化の阻害が生じていた.そこで本年度は,この問題を避けるために,シェル樹脂型を機械的に離型する方法に改めたところ,型が薄肉であるために,機械的な離型に頼っても容易に離型が可能であることが確認でき,コンタミネーションの影響をかなりのレベルで除去することが出来た.これが,一番の改良ポイントである.だたし,機械的な離型を行った場合でも,型樹脂から製品の表面に微量にコンタミネーションが発生し,これにより製品表面の白濁化が生じているので,この点を今後改良する必要がある.
なお,年度末に完成した製品例を持参して歯学部においてディスカッションを行い,審美性や形状適応性において,今後の方針を確認した.本研究に関して,機械学会の全国大会,ならびに粉体粉末冶金協会の秋季講演会において,成果の発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究で,目的とする製品の形状を再現するところまでプロセスが完成している.後は,プロセスの細かい部分を改良して,より製品の品質を上げていく必要がある.
また,以上の研究進捗によって学会発表に値するデータが取得できたため,研究成果の発表も行うことが出来た.さらに,来年度開かれる国際会議のエントリーもすませてある.
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Strategy for Future Research Activity |
歯学部とのディスカッションを通して,来年度は,実際の人工歯のデータを元に,製品を再現する予定を立てている.また,現行の義歯ではジルコニアが使われている場合が多いので,ジルコニアによる義歯の製作も試みる.
さらに,義歯の実際では,多彩な色味を表現する審美性にも重点が置かれているので,焼結体への着色も,添加物の検討などにより,試みる予定である.
なお,得られた結果については,秋に開かれる国際会議において発表する予定である.
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