2013 Fiscal Year Research-status Report
金属箔圧接とレーザー照射によるマグネシウム合金の機能性皮膜形成とその特性評価
Project/Area Number |
25420060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
原田 泰典 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30218656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面処理 / 表面改質 / マグネシウム合金 / 熱処理 / ショットピーニング / 金属間化合物 |
Research Abstract |
マグネシウム合金の耐食性や耐摩耗性を向上させるため,ショットピーニングを利用した異種金属の接合とその後のレーザ照射によって機能性皮膜を形成させることを主目的としている.初年度はおもに,マグネシウム合金AZ31に対して純鉄粉末をサンドイッチした純アルミニウム箔を接合した後,レーザ照射の加熱によって表面層の合金化を行った.その結果,まず合金表面への純鉄粉末の供給量を変化させることによって,厚膜の表面層形成を可能にする最適な粉末の供給量がわかった.具体的には,純鉄粉末層を単層から複層まで変化させて皮膜層を形成させた結果,所定の供給量下で複層させることが皮膜形成に効果的であることがわかった.皮膜形成可能な純鉄粉末の供給量は,1平方ミリあたり0.5mgから0.8mgの範囲であった.粉末を複層させる場合,純鉄粉末層と純アルミニウム箔を交互に積層させた.次に,レーザ照射条件を変化させることによって機能性金属間化合物の形成が十分に可能である加工条件がわかった.次に,形成した合金層の組織は,光学顕微鏡によって表面近傍断面の観察を行った.表面近傍断面の観察から,鏡面化した状態においてレーザ照射を施した組織は材料の深さ方向にV字状の合金層を形成しているのが見られ,合金組織は白色を呈していた.次に,形成した合金層の材料特性は,硬さ測定と摩耗試験によって評価を行った.合金層の硬さは純鉄粉末や基材の硬さより高く,耐摩耗性も向上していることがわかった.以上より,これらの結果は皮膜形成の上で重要であり,一定の皮膜厚さをもつ合金層を形成するためには純鉄粉末の供給量とレーザ照射条件の関係が大きく影響することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において,ショットピーニングによるマグネシウム合金への鉄粉含有のアルミニウム箔の接合を行った後,レーザ照射による加熱を行い,おもに鉄とアルミニウム系金属間化合物の皮膜形成に及ぼす加工条件を明らかにすることを計画とした.研究実績の内容から計画した研究内容をおおむね実施出来たと考えられる.初年度の計画において,まず接合性の低いマグネシウム合金への異種金属の接合を行うための加熱装置の設計試作を行い,所定の温度で加熱保持可能な装置を計画通りに作製した.その装置を用いて,純鉄粉末をアルミニウム箔でサンドイッチした積層材として良好な接合条件を調べ,合金層形成のための粉末の最適供給量を計画通りに進展させた.次に,合金層形成のためのレーザ照射条件を調べ,照射出力や照射速度などの最適加工条件を計画通りに進展させた.次に,硬さ試験や組織観察の評価によって合金層の材料特性を調べ,合金化の程度を確認することを計画通りに進展させた.したがって,実施した研究状況から,初年度に計画した通りの成果を得ることが出来たため,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究においては計画通りに進んだため,本年度は計画通りに進展させる.主な計画として,まず熱処理によって形成した金属間化合物の同定を行う計画で,おもにX 線回折によって同定を行う.具体的には,最表面と深さ方向への回折を行う.深さ方向における同定では,表面に平行に逐次研削加工によって除去した表面の回折を行う.次に,耐食性試験と摩耗試験を行う計画である.組織観察やX 線回折などの結果から,皮膜形成がなされている試験片に対して,耐食性試験を行う.耐食性は皮膜形成を行っていない試験片の耐食性を基準として,海水や酸性溶液に対する評価を行うが,研究期間が限られているので腐食試験による評価も同時に行う計画である.一方,硬さ試験や組織観察などの結果から,硬質の皮膜形成が十分に認められる試験片に対して耐摩耗性を調べるため,負荷条件を変化させて摩耗試験を行う計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の発表を行った学会参加に対する旅行日程が変更したため。 学会での研究成果発表を行うための旅費に使用する計画である。
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