2014 Fiscal Year Research-status Report
グリーンマシン対応水静圧スピンドル開発とナノ多結晶ダイヤモンドによる高硬度材切削
| Project/Area Number |
25420069
|
|---|
| Research Institution | Kanagawa University |
|---|
Principal Investigator |
中尾 陽一 神奈川大学, 工学部, 教授 (00260993)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | スピンドル / 静圧軸受 / 超精密工作機械 / ナノ多結晶ダイヤモンド工具 / 水圧駆動システム |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
最近，バインダレスのナノ多結晶ダイヤモンド製小径エンドミルが開発され，従来は困難であった高硬度材に対する高効率高精度な微細形状超精密切削の実用化が期待できるようになった．一方，その実現には超精密工作機械用の工具スピンドルの高回転数化と軸受の高剛性化の両立が必要不可欠であり，現状，これを満たすスピンドルは内外に存在しない．本申請課題は，高速高剛性水静圧スピンドルを開発し，ナノ多結晶ダイヤモンド小径エンドミルを用いて，高硬度材の高効率高精度切削を目指して進行中の研究である． 研究2年目における，研究実績の概要は次の通りである．
(1) 高速高剛性水静圧スピンドルにおける熱的安定性の解析：本研究課題で開発するスピンドルは，水静圧軸受で支持されたスピンドルを高速回転させる．そのため，水の粘性に伴う発熱は避けられない．一方，本研究課題では，供給する水をスピンドルの冷却媒体としても併用することを特徴としている．そこで，数学モデルを導出し，スピンドルに供給する水の温度上昇と水によるスピンドル各部の冷却効果について，シミュレーションによる検討を実施した．
(2) 高速高剛性水静圧スピンドルの基本設計： スピンドルの開発に先立ち，基本設計を行った．一連の検討から，スピンドル仕様を実現するためのスピンドル各部の主要寸法を決定した．
(3) 水静圧軸受の高性能化に関する検討：基礎実験装置を試作し，水静圧軸受の変位制御系を構築した．さらに，変位制御系を開発し，軸受剛性の向上と変位制御の実現可能性に関する検討を実施した．
(4) ナノ多結晶ダイヤモンドバイトによる加工性評価：ナノ多結晶ダイヤモンドバイトによる各種加工材料に対する旋削特性の実験的評価を実施した．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高速高剛性水静圧スピンドルの開発について：当初の研究計画の通り，ナノ多結晶ダイヤモンドバイトによる加工実験を実施した．また，高速高剛性水静圧スピンドルの開発に向けて，高速スピンドルに関わる主要事項に関する検討を理論計算に基づいて実施した．さらに，水静圧軸受の高性能化を目指した予備実験とシミュレーションを行った．一連の研究成果を活用してスピンドル開発を進める予定である．当初の計画においては，スピンドルの開発が終了している予定であったが，設計段階で計画時よりも詳細な理論的検討を進めた結果，スピンドル開発が当初の計画よりも遅れているが，スピンドル開発に向けて研究は進んでいる．
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は次の通りである．
高速高剛性水静圧スピンドルの性能評価：開発するスピンドルの回転精度特性，軸受剛性の測定，熱的安定性の評価を行う．
ナノ多結晶ダイヤモンドエンドミルによる加工評価：ナノ多結晶ダイヤモンドエンドミルによる，高硬度材の微細精密切削実験を行う．
|
| Causes of Carryover |
当初の研究計画では，スピンドル製作費として支出する予定であったが，シミュレーションや理論計算を中心に研究を進めた結果，スピンドル製作に至らなかった．また，当初予定していた研究成果を発表するための海外出張については，学内諸事情によって出張が困難になったため，出張費の支出もなかった．
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでにスピンドルの製作準備に入っており，次年度については，予算執行の適正化が図れる見通しである．
|
Research Products
(10 results)
