2013 Fiscal Year Research-status Report
高精度方位角検出器を用いた大型対象物の高精度形状評価
Project/Area Number |
25420077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
久米 達哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 機械工学センター, 研究機関講師 (40353362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 形状測定 / 真直度測定 / ジャイロ / ドリフト / 反転測定 |
Research Abstract |
水準器やジャイロなどの角度検出器を用いた形状評価(アライメント評価)は、対象物の並び(形状)の一階微分値(差分値)となる方位角を検出し、それらを積分することで行われる。これらは、形状基準を不要とすることから、高精度な形状基準を用意することが難しい大型対象物の形状評価に有利であると考えられる。 これまでに行われた、全長600mの直線型粒子加速器であるKEK入射器の水準器を用いた真直度評価では、標準偏差10microrad程度の方位角検出が可能となり、実際に1セクター約71mの繰返し評価時の標準偏差が49micro-m以下となり、3つの連続するセクター約206mのアライメント評価を実現し、さらに、KEK入射器最長の500mの直線部において、サブmmレベルでの真直度評価が可能と見積もられた。 本検討は、角度検出にジャイロを用いることで、重力方向に依存することなく当該手法を実現し、水準器では検出することのできない水平面内の評価への適用を可能とし、さらに、鉛直面内の評価において、地球の丸みの影響を除去可能とすることを目的とする。 ジャイロによる方位角検出精度はドリフトにより支配されるが、ドリフトによる変動が無視できるほど短い間隔で繰返し反転測定することで、その影響が除去できるものと期待される。 これまで予備実験として行った3mrad/h程度のドリフトを持つ光ファイバジャイロの60秒間隔での反転測定において、地球自転に起因する59microrad/s程度の方位角変化と、61microrad/s程度のジャイロレートオフセットを分離、検出し、これらの影響を受けることなくジャイロの方位角を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度となる平成25年度は、市販の光ファイバジャイロをベースに、その方位角検出面に定義された軸周りに回転する回転機構を組み合わせることで、反転測定によりジャイロドリフトを除去するジャイロドリフト除去検証装置の設計、製作を行うことを当初計画での目標とした。 まず、長納期が予想された光ファイバジャイロを年度当初において選定、発注し、年度内に入手した。さらに、それを用いてジャイロドリフトの基本特性を求め、60秒間隔での連続反転測定により、地球自転に起因する方位角変化とジャイロレートオフセットを検出、除去し、これらの影響を受けることなくジャイロの方位角が導出可能であることを示した。その一方で、連続反転によるジャイロドリフト除去検証装置機構系の設計、製作を行い完成させた。 これらに伴う装置コンセプトや設計パラメータの決定過程、さらに、実際に得られたジャイロドリフト特性と反転測定によるその除去などについて、精密工学会等にて講演を行い、他研究機関の技術者や研究者の意見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末に完成した連続反転によるジャイロドリフト除去検証装置機構系を制御し、ジャイロ角度出力データを取得するための制御、および、データ取得系を設計、製作し、それを用いてより高速な1秒前後の連続反転測定によるドリフトの除去効果についての検証を行う。その一方で、これまでの検討において、ジャイロ角度出力に見られた高周波ノイズを除去するためのフィルタの設計を行う。これらを通して、10microrad程度もしくはそれ以上の高精度方位検出器の実現を目指す。 これらと並行して、次年度に予定する全長600mの直線型粒子加速器であるKEK入射器の真直度評価への適用を目指した方位角検出装置を設計し作成する。
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Research Products
(5 results)