2013 Fiscal Year Research-status Report
レール用小型X線応力測定装置による実路線の転がり疲労の解明
Project/Area Number |
25420085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 敏彦 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40251912)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄道 / レール / シェリング / 残留応力 / X線 / イメージングプレート / 回折 / デバイリング |
Research Abstract |
社会基盤として重要な交通手段である鉄道は、新幹線などのように列車側の技術は目に見えて進んでいるが、それに対してレール側の技術の進歩は比較的遅く、現在でも列車通過毎に車輪を通して転動疲労(RCF)を受けることで、数年で劣化や折損を生じる状況が続いている。レールはまた、劣化の検知が困難であるとともに、一度敷設すると交換に手間がかかる特徴がある。このような状況は海外でも同様であり、2000年にはレールの劣化(以下、RCF)が原因で死亡事故が発生しており、この問題は鉄道技術において日本を含む世界的課題の一つである。現在は、超音波探傷やレール削正に巨費を投じつつも、その効果には限界がある。このような状況に対して、本研究は、結晶レベルのナノ情報(格子ひずみ、集合組織)を基礎とし、同時に工学的マクロ情報(残留応力)も評価可能な方法であるX線回折法に着目し、保守に向けてオンサイト使用可能な小型装置を新開発し、敷設レールの実態の調査、損傷評価技術の検討を行い、安全安心な鉄道の実現に貢献することを目的とした。そのため、レールの検査に適したX線測定装置についての検討、本X線装置の測定精度の検証、三軸残留応力の評価の検証、をそれぞれ行った。これらの検討の結果、デバイリングを二次元計測して応力解析理論cosα法で応力を求める小型X線装置が、ほぼ従来のX線応力測定技術に匹敵する性能を有することを確認した。なお、測定試料の結晶粒径や加工変質層の影響を受けることも一部の測定結果においては見られたので、種々の測定箇所に対して精度良い測定結果を得るためには今後検討が必要であることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に営業線で使用された鉄道レールを入手し、新しいX線応力測定技術である二次元検出器方式のcosα法によって残留応力が測定できる装置を適用し、平面応力および三軸応力状態における応力解析ができるようになった。また、デバイリングの二次元画像を通して結晶状態や修吾組織の形成状態を視覚化できるようになり、レールの損傷状態を直感的的に知ることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
応力測定精度の向上と測定作業効率の向上が一層求められると考え、前者では基準となる格子定数(d0値)の実用的な決定方法を検討する。また後者に関しては、X線装置とXYステージとの連携性を高め、自動応力測定可能にしていくことを検討する。
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Research Products
(8 results)