2014 Fiscal Year Research-status Report
レール用小型X線応力測定装置による実路線の転がり疲労の解明
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25420085
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 敏彦 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40251912)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄道レール / 転がり疲労 / シェリング / き裂 / 残留応力 / X線 / 回折環 / 白色層 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に試作したイメージングプレート方式による回折環計測データを利用した残留応力および結晶状態の評価装置を用い以下の検討を行った。 白色層・塑性フローの非破壊検知技術の検討を行い、レールのき裂発生原因として注目されている白色層の非破壊検出法をX線半価幅から高精度検出する新検査法を開発した。検証実験により、軟X線の照射により計測される回折環の半価幅から白色層と考えられる箇所の検知が可能であった。塑性フローに関しては、その解析に必要な三軸残留応力成分の決定を可能とした。各応力成分からの塑性フロー解析については平成27年度の研究テーマとした。レールの損傷初期に形成する塑性フローは、現状では切断・腐食を経て顕微鏡観察しなければ検知できないが、X線測定した残留応力の主方向から評価できる可能性が予備検証で判明しているので、これを開発機に搭載して現地計測可能にし、現地データを取得する予定である。このための現地計測用機構の製作を実現できた。 また、実際に営業線で使用された鉄道レールサンプルに対し、2次元検出器方式による新X線技術を適用して高速高精度なX線三軸応力応力解析を実施し、詳細な残留応力、結晶状態の解明を行うことができた。とくに、レ-ルの頭頂面を2mm間隔に240ポイントのマッピング計測を実現し、詳細な残留応力状態の解明に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
営業線の実レールの計測が可能な世界に例のない2次元検出器方式のX線残留応力解析装置を製作した。これを用いて平成27年度の北陸線または北陸新幹線のレールの現場適用を行う準備ができた。また、営業線で実際に使われたレールの頭頂面について全三軸残留応力成分の詳細な残留応力状態のマッピング測定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
敷設路線のX線測定を実現する。このため、平成26年度の開発機を用いて、金沢近郊の北陸線レール(または北陸新幹線レール)でX線測定を実施し、実際の敷設レールの損傷状態及び残留応力状態を解明し、データを吟味してX線によるレール検査方法を構築する。最後に、本研究の総括も行う。なお、当初計画していた新中性子応力測定法に関しては、中性子源として予定していた日本原子力科学研究機構が東北大震災以降運転が停止状態のため、実験からシミュレーションおよび理論解析に重点を移して研究を進める。
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