2014 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し衝突貧潤滑摩擦摩耗面の高耐摩耗性・低摩擦表面創製のためのDLC膜設計指針
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25420087
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
野老山 貴行 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432247)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 繰り返し衝突 / ダイヤモンドライクカーボン / 貧潤滑 / 結晶構造 / ラマン分光分析 / XPS分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝突に伴うDLC膜の結晶構造変化を明らかにするため,ラマン分光分析法を用い構造変化の有無及びその程度について測定を行った.ラマン分光分析法では通常DLC膜の最表面だけでなく,内部に約1 μmまで測定されてしまう欠点があるため,X線光電子分光法(XPS)を用いて最表面の約5 nm近傍のみの結晶構造変化を測定した.測定に際して,測定箇所を予め決定するため,ナノインデンテーション試験機を用いて表面に圧痕を形成し,XPSに付属のデジタルカメラでも視認可能なように調整して行った.通常DLC膜は無潤滑環境下において摩擦試験を行うと,sp2結晶構造が増加してグラファイトのような構造に変化することが知られているが,本研究で扱う衝突の場合,XPSの分析結果からsp3構造が増加していることが明らかにされた.この増加は衝突回数の増加に比例していることから,膜の最表面からsp3結晶構造化が進行するものと推測される.このようなsp3構造の増加は膜の硬さの増加を引き起こすものと予想され,実際に硬さ測定することが望まれるが,衝突痕内部のみを硬さ試験することは困難であることから,反射分光膜厚計による光学特性の測定と,その測定結果から硬さを概算する手法のモデル構築について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた衝突実験及びラマン分光分析,XPS分析が実施され,特に研究の進行に影響があると考えられていたナノインデンテーション試験機による圧痕の作製とデジタルカメラによる視認の問題がスムースに解消されたことにより,おおむね順調に進展することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
繰り返し衝突が起こる系では,DLC膜を成膜した平板試験片の基盤材料及び衝突する相手材料(高クロムモリブデン鋼SCM420鋼)ピンの先端も塑性変形して曲率半径が変化するものと予想される.衝突後の表面観察を可能にするため,ピンを保持可能なままSEM内にて観察可能な治具の作製を行う.また,塑性変形量を測定するため,レーザ顕微鏡を用い,曲率半径の変化を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
治具の作製のため工具等の購入を行う予定だったが,研究期間内において所属大学が変わったため,工作機械に若干の変更があり,仕様の見直しが必要だったため未使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度新たに治具を作製する必要があるため,未使用額を含めて使用予定です.
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