2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25420095
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 修一 日本工業大学, 工学部, 教授 (60220886)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DLC膜 / 表面自由エネルギー / プラズマ処理 / 表面改質 / 摩擦係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DLC膜をより機能化したトライボコーティングとして、さらには生体適合膜として利用できるようにするため、DLC膜の表面自由エネルギーを制御する技術の開発を行うことを目的とした。これらの研究遂行のために研究代表者の研究室に導入されている設備である高圧パルスバイアスCVDプロセスとスパッタリングを複合化した装置を活用した。具体的には、膜の表面自由エネルギーを制御する方法として、膜を形成後に膜の極表面層を酸素およびフッ化炭素ガスを用いてプラズマ処理を施すことによって膜表層に極性を持たせる手段によることとした。酸素プラズマによる場合は、液滴法によって測定される表面自由エネルギー値が処理前に比べ2倍程度大きくなる(処理前の値(45mN/m)に比べ、適正条件にて処理をした場合の値は85mN/mとなった)ことを明らかにした。フッ化炭素ガスを用いた場合は、期待したように膜表面にフッ化物基が形成され、純水の接触角が大きくなることを明らかにした。このような表面特性の異なる膜の摩擦特性を、最終年度である平成27年度に確認したところ、酸素処理した膜の摩擦係数はドライ環境下では0.03程度の極低摩擦を示すこと、相対湿度80-90%程度の高湿度環境においても低摩擦を維持し、摩耗も処理をしていない膜に比べ改善することを明らかにした。現在は、開発した膜を体内インプラント材の表面改質層として応用することを目的として、膜の生体適合性の評価を開始したところである。尚、膜形成後にウエットプロセスであるシランカップリング溶液を用いた浸漬法により膜表層の改質に関しては、設備の関係でまだ実施できていないが、平成28年度中には実施する計画である。また、フッ化炭素ガスにより処理した膜の膜表面抵抗が変化することも明らかにしており、今後詳細に膜表面構造などの変化を調べることにしている。
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Research Products
(4 results)