2015 Fiscal Year Research-status Report
感性価値創出に向けた感動把握支援プロセスのアセスメント研究
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25420097
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 浩志 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (40384028)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 設計工学 / 感性価値創出 / 感動 / アセスメント / V-model / V&V / 品質工学 / 機能的近赤外光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請研究に対して,本年度は,開発したV-modelによるアセスメントプロセスの妥当性確認と感動ストーリーの導入による新プロセスの提案の2項目を実施した.また,昨年度と同様に掃除機,キックスケータ,浴槽掃除ロボットの3つの製品を対象として,感動把握支援プロセスを用いたアイデア創出を実施した. (1)開発したV-modelによるアセスメントプロセスの妥当性確認.まず,掃除機を対象としたアイデア創出については,V-modelによるアセスメントプロセスの妥当性確認を詳細に実施した.つぎに,感動ストーリーの導入による新支援プロセスの構築を実施した. (2)感動ストーリーの導入.これは,「感性価値を生活者の感性に働きかけ,その共感を得ることによって,はじめて顕在化する」,「ある考えを一つの感情に結びつけるために人の心に訴える物語を語ること」が,人を動かすために有効であるという点に着目し,新支援プロセスでは,「感動品質」×「方策」=「感動ストーリー」と新たに再定義する.この「感動ストーリー」を,ワールドカフェを通じて抽出するために,新たにShow Me Your ValuesとEmpathy Mapの手法を導入した.得られた「感動ストーリー」と「ニーズ」を品質機能展開表に展開し,矛盾解決を通じて製品アイデアを創出した. さらに,キックスケータと浴槽掃除ロボットについては,ケース1:アイデア支援を伴わない場合,ケース2:感動把握支援プロセスありの場合,ケース3:感動ストーリーを導入した感動把握支援プロセスありの場合の3ケースを試みることにした.この製品アイデアの比較を通じた妥当性確認を,平成28年度に実施できるように最初のトライアルを,キックスケータを題材に27年度に実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)開発したV-modelによるアセスメントプロセスの妥当性確認 V-modelによるアセスメントの検証プロセスと妥当性確認プロセスのそれぞれについて問題点を抽出した.まず,検証プロセスでは,その評価を行う被験者の「感動のしやすさ」が不確かな要素であることに着目して誤差因子とすることで品質工学を適用した.その結果,人間軸の評価が異なることを発見した.さらに,SD分析の結果とNIRSの結果を相互に利用し,検証することで,得られたアイデアに対する妥当性確認ができた. (2)感動ストーリーの導入 既存の感動把握支援プロセスの妥当性確認は,創出したアイデアのイメージを見せ,「自分で使用している姿」,または「日常で使われている姿」を想像してもらい,NIRSによる計測を通じて判断する.これは,製品アイデアの感動ストーリーが陰に含まれた状態であった.そこで,本年度は,感動ストーリーの導入による新支援プロセスの構築を実施した.これは,「感性価値を生活者の感性に働きかけ,その共感を得ることによって,はじめて顕在化する」,「ある考えを一つの感情に結びつけるために人の心に訴える物語を語ること」が有効であるという点に着目したものである.新支援プロセスでは,感動品質×方策=感動ストーリーと新たに再定義する.この感動ストーリーを抽出するために,新たにShow Me Your ValuesとEmpathy Mapの手法を導入した.この手法により,既存の感動把握支援プロセスでは陰に含んでいた感動ストーリーを陽に示すことで,感性価値を含んだ製品アイデアが創出できると考えた.本提案は,日本機械学会第25回設計工学・システム部門講演会にて発表した.さらに,7th International Conference on Systematic Innovation (ICSI 2016)でその成果を発表予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
感動ストーリーを伴った新支援プロセスでは,感動ストーリー(=感動品質×方策)を,ワールドカフェプロセスから導き出すために,参加者自身の感動ストーリーをShow Me Your Valuesにより紹介,その後,ワールドカフェのプロセスに従って参加者の感動ストーリーを共有,そのストーリーを構成する感動品質や方策について抽出,グルーピングしていく.感動ストーリーにはどういった要素が関わってくるかなどの特徴をまとめた後に,ワールドカフェの最終セッションにて,「この人を感動させるために,最高な感動ストーリーを 考える」というテーマでEmpathy Mapを作成する.このEmpathy Mapからキャッチコピーのようなショートストーリー,もしくは1,2行のロングストーリーを感動ストーリーとして導き出す.この感動ストーリーをトップダウンアプローチにて,方策と詳細ストーリーに展開する.この展開を通じて得られた具体的な「ストーリー」と「方策」を「ニーズ」と共に品質機能展開する.この品質機能展開表を用いて矛盾関係を把握し,創造的工学設計支援システムや発明的問題解決法を利用することでアイデアを創出する.得られた感動ストーリーやアイデアに対するアセスメントとして,V-modelによるアセスメントプロセスを適用する.さらに,アイデア支援を伴わない場合(ケース1),感動把握支援プロセスありの場合(ケース2),感動ストーリーを導入した感動把握支援プロセスありの場合(ケース3)の3ケースを比較することで本新支援プロセスの有用性を確認する.
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Causes of Carryover |
NIRSの保守用部品代が発生しなかったことと海外の国際会議旅費(2名分)が想定していた金額よりもかからなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会旅費の一部に利用することを想定している.
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