2013 Fiscal Year Research-status Report
40万回転を超える微細精密加工用空気静圧スピンドルの開発
Project/Area Number |
25420099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉本 成香 東京理科大学, 工学部, 教授 (80096718)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高速スピンドル / 空気軸受 / マイクロミーリング |
Research Abstract |
本年度は,7個の空気静圧ジャーナル軸受を使用したスピンドルの開発を行った.この軸受は,軸受すきま内の高速な空気流の慣性力を利用して空気膜の減衰性を高め,高速安定性を向上させることができる.また申請者が行った従来の研究から,この軸受の中央部に浅い溝を設けることにより,安定限界速度を1次共振周波数の10倍以上に高められることが明らかとなっている.よってその軸受を採用したスピンドルの1次共振点は約800Hzとなり,円周溝付き空気静圧軸受を用いたスピンドルの安定限界速度は,少なくともその10倍で8,000Hz程度となることが予測でき,実際に開発したスピンドルを用いて回転試験を行った結果,40万回転を達成することができた.さらに上下2個の軸受すきまを20μmから10μmとすることにより剛性を2倍に高める工夫も行った. 次に高速で回転する回転軸の振れまわりを低減するためには,不釣合い量の除去が不可欠となる.近年,40万回転に対応できる動つりあい試験機が市販されており,それを用いて回転軸の釣り合い量の測定を行った.また本研究で取り扱うような小径軸では,試し錘を取り付け40万回転で回転させると試し錘が遠心力で飛ばされる可能性があるため,試し錘を用いずに,精密切削加工機を用いて既知量を除去し不釣合い量を推定する方法を採用した.その結果,2μm以下の回転軸振れまわりを実現することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,小型の空気静圧軸受を用いて40万回転のスピンドルを開発することと,このような小型高速回転スピンドルにおける不釣合い除去法の確立を目指した. その結果,高速回転については,軸受すきま内を流れる空気流の慣性力を利用した安定性向上法に加え,浅い円周溝を軸受中央部に設けることにより,40万回転実現可能なスピンドルを開発することができた.また不釣合い量の除去については,除去量を正確に見積もることのできる手法として,微小径ミーリングカッタの加工深さ量を制御できる加工機を用いる方法を採用し,スピンドルの振れ量を2μm以下に抑制することができた. 以上の結果より,研究としては,概ね当初の計画通り,順調に進んでいるものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,40万回転が可能なスピンドルを実際に開発することができたが,このスピンドルの長所を明らかにするためには,開発したスピンドルを用いた加工実験を行う必要がある.現在,申請者の研究室には精密な加工機がないため,加工機メーカに加工実験を依頼することで,開発したスピンドルの加工性能の確認を行うことを計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に行う予定の加工実験(加工材の材質,コーティング等)に合致したエンドミルを購入することとしたため,本年度はその購入を見送った. 次年度の加工計画にあわせたエンドミルの購入を行うとともに,定盤等の購入を行い本研究を遂行するための実験環境の整備を行う.
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