2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
柿本 正憲 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20537683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 累進レンズ設計 / 焦点ボケ |
Research Abstract |
初年度計画は、1.累進レンズ性能を示す焦点ボケ分布図に適した標準背景モデルの作成、2.像歪み分布図の作成、の2項目であった。 このうち前記1については、遠距離から近距離までを適切にカバーする壁・床・卓上を模した標準形状モデルをデザインした。このモデルに対して累進レンズモデルを適切な位置に配置することにより、レンズ上半分の遠用部を通して壁モデルを、レンズ中央の累進帯を通して床モデルを、レンズ下部の近用部を通して卓上モデルを見たときの焦点ボケをシミュレートできた。焦点ボケ量が正しく計算されていることを検証するために、実際のボケの見え方を表示する必要がある。そこで、標準背景モデルに最適な格子状の模様(テクスチャ)をはりつけて、遠用部・累進帯・近用部ともに同じ条件でボケ量を検証できるように工夫した。本標準背景モデルにより、焦点ボケ量の計算結果と実際の見え方予測とを照らし合わせることができ、焦点ボケ量計算法の検証に役立てることができた。 前記2については、一定の歪み量分布図を作成できた。ここで、想定していた二つの問題点が顕在化した。一つは処理時間の長さ、二番目は計算できるレンズ内領域の狭さである。処理時間については、一画面の分布図作成のために10分~20分程度の計算時間がかかった。今後の研究では、主に計算の簡略化によりこの部分の高速化を図る。二番目の計算可能領域については、画面上に表示したレンズ表面のうち半分程度の面積であった。装用者にとって最も重要なレンズ中央部はカバーしていたが、次に重要なレンズ上下端は少し欠ける結果となった。レンズ左右端は大きく欠ける結果であるが、累進レンズではほとんど使わない部分であり問題は少ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画のうち、主な研究課題の推進については上記概要で述べたとおり、初年度の範囲をおおむね達成した。実施計画で付記した技術調査については、海外での調査が実施できなかった。費用に見合う調査成果を見込める学会等を見つけることができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度の結果を踏まえ、実施計画に沿って、像歪み分布図生成の高速化、設計最適化手法の検討を行う。 当初想定していなかった事態として、使用するソフトウェアライブラリの有料化がある。対応策として、本研究の期間をカバーするライセンス料を、当初計画していた平成25年度物品費・旅費の残額、平成26年度物品費・旅費から充当する。詳細は【次年度使用額が生じた理由と使用計画】に記載する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では予定していなかったソフトウェアライセンス料が生じることが年度途中で判明し、物品費・旅費の使用を控えたため。 焦点ボケの見え方や分布図を可視化する表示機能の基本部分として使用しているライブラリの利用ライセンスが必要となった。研究遂行のために開発しているアプリケーションソフトは研究協力者との共同開発だが、表示ライブラリは他社製でライセンス料が必要である。計画当初、このライセンス料は研究協力者が寄附の形で無償提供する方針であったが、会社の方針として寄附の支出が厳しくなり、研究代表者が負担すべきものとなった。 対応策として、本研究の期間をカバーするライセンス料を、当初計画していた平成25年度物品費・旅費の残額、平成26年度物品費・旅費から充当する。 3次元CGモデル表示用組込みソフトウェア(ライブラリ)Alchemyの利用ライセンス料(平成30年12月まで)として100万円(概算で、現在見積中)を使用予定。契約先はシリコンスタジオ株式会社(研究協力者の所属組織)。ソフトウェア開発元はActivision Inc.(米国カリフォルニア州)。 そのほか、謝金(論文英文翻訳)として10万円、出張旅費として30万円(国内5万円・海外25万円)を計画している。
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Research Products
(1 results)