2013 Fiscal Year Research-status Report
希薄気体効果を利用したマイクロ流れシステムの構築に関する研究
Project/Area Number |
25420107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 裕昭 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (10251753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 希薄気体流れ / 希薄気体効果 / Thermal creep flow / Thermal stress slip flow |
Research Abstract |
本年度は、実施計画案にあるように、(1)ラジオメータ内の希薄気体流れのメカニズムの解明と、(2)熱の吸収率が異なる薄板からなる積層構造の気流発生システムの構築、の2つの項目について実施した。(1)の項目についての概要を以下に示す。 希薄気体効果である熱誘導流れや熱応力滑り流れの性質を調べる事を目的として、真空容器内で移動(回転)する薄板の温度の測定法を確定した。具体的には、①片面に煤が塗布されたアルミ製の薄板をガラス製の真空容器に設置し、放射温度計と熱電対により薄板表面の温度を測定し、ガラス越しに測定した放射温度計の値について、熱電対による温度の測定値から、その校正式を求めた。②強度の異なる赤外線ランプを照射して薄板からなる羽根を回転させて、ビデオカメラで撮影し、同時に羽根の両面の温度を2つの放射温度計を用いて測定した。③得られた動画から羽根の回転数を算出し、煤が塗布された面と塗布されていない面の温度差と羽根の回転数の関係を調べた。以上より、羽根の回転数は薄板の両面の温度差の上昇に伴い、指数的に増加することが確認された。また薄板の温度差が数度程度でも羽根が回転することを確認し、熱誘導流れは希薄気体の輸送に有効なシステムとなる可能性を示すことができた。 (2)の項目については、実験装置を設計し、組み立てを終えた。現時点では、真空容器内の真空度等の測定を行っている段階である。今後、片側の面に煤を塗布した薄板を層状に重ね合わせた多層構造体を作成し実験を進めて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の作成に多少遅れが出たが、計画書に記載した2つの項目について、ほぼ計画書通りに実施できたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進展しているので、今後も計画書に沿って研究を進めて行く。 具体的には、平成26年度以降は、前年度に組み立てた実験装置を用いて希薄気体効果を利用した気流供給システムの性能の検証を行う。また数値解析を行い、効率の良い作動環境および機材を探り、システムの最適化を試みる。更に効率の良いシステムの展望等を探っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置が当初予定していた価格より抑えることができたため。 実験に必要な材料費として使用する。
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