2015 Fiscal Year Research-status Report
工業晶析装置内の混相流と溶液状態に着目した現象モデルの開発
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25420108
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三角 隆太 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40334635)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 撹拌・混合 / 晶析 / CFD / 結晶摩耗 / 二次核発生 / ポピュレーションバランス / 固液混相流 / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に得られた知見は以下の通りである。 (a) 撹拌羽根近傍の固体粒子の運動を観察することのできる回転同期・高速動画撮影システムを構築した。撹拌羽根への粒子の衝突現象を自作の画像処理プログラムで定量化し、羽根前面および背面に対して、それぞれ法線方向および接線方向の衝突速度の確率密度分布を算出した。定量化した実験結果とLESにもとづいた固体粒子のラグランジアン解析の結果を比較したところ、衝突速度の確率密度分布が再現率65~80%で良好に一致することを確認した。 (b) カリ明礬の結晶粒子が撹拌羽根に衝突する際に生成される摩耗微結晶と母結晶のSEM画像にもとづいて、摩耗現象を定量化する手法を構築した。生成される摩耗微結晶の個数および母結晶の摩滅体積の割合r_aは、撹拌時間の進行とともに数時間にわたって経時的に増加し、その後一定値に漸近することがわかった。母結晶の摩滅現象はおもに結晶の角で起こることが確認され、撹拌時間とともに角は丸みを帯びていき、微結晶の生成速度は小さくなる。同翼回転数、同r_aにおいて比較すると、槽径20cmの撹拌槽における微結晶生成速度は、槽径10cmの場合と比較して8~20倍程度大きくなることがわかった。 (c) カリ明礬の冷却晶析をモデルケースとして、結晶の凝集現象を画像解析にもとづき定量化する手法について検討した。同法では、まず吸引サンプリング法により可視化セル内を通過する結晶を、高速度ビデオカメラを用いて撮影した。一次粒子の形状を円形であると仮定して画像内での一次粒子の位置と直径を算出した。全ての一次粒子について粒子の重なりの有無を判定することで、「単独で存在する一次粒子」と「二次粒子を構成する一次粒子」を区別することができ、さらに二次粒子の直径(球体積相当径)とそれを構成する一次粒子の個数の関係についても詳細に定量化することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度までに、(a) 撹拌羽根への結晶粒子の衝突現象の定量化と粒子特性の影響についての検討、(b) 撹拌羽根への結晶粒子の衝突に伴う微結晶発生量と母結晶の摩滅量の定量化手法の検討、(c) 結晶凝集現象の定量化手法の検討、(d) ポピュレーションバランス解析による結晶成長速度の温度依存性に関する検討について、それぞれ取り組んだ。 平成27年度は、(a)については、CFDにもとづき粒子径や粒子の比重が異なる場合の影響について整理し、さらに実験的な検証を加えるために、回転する撹拌羽根近傍での粒子の挙動を観察するための回転同期・高速動画撮影システムを開発し粒子衝突の定量化データを取得した。国際会議(ECOM15において2件)ならびに国内会議(化学工学会桐生大会)にて成果を発表した。なお、化学工学会での発表は同会において特別賞を受賞した。 (b)については、結晶粒子が撹拌羽根に衝突する際の母結晶形状および微結晶生成量の経時変化をSEM画像の解析処理にもとづいて定量化する手法を構築し、国際会議(BIWIC2015)、ならびに国内会議(日本海水学会若手会第7回学生研究発表会)にて成果を発表した。 (c) については、カリミョウバンの種晶添加冷却晶析をモデルケースとして、画像解析による凝集粒子の定量化手法について、2016年度の国内会議(日本海水学会第67年会)での成果発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本助成課題の各サブテーマにおいてられた研究結果について、順次論文発表を進める。
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Causes of Carryover |
研究成果を論文発表するためのデータ整理と論文作成を次年度も引き続き進め、万全な形で投稿するために研究期間を延長した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を論文発表するための英文校正経費などとして支出する予定。
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