2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420110
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松原 雅春 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (10324229)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者協力 / イタリア / 乱流 / 境界層 / トリッピング / 対数則 / 相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の研究によって,乱流遷移を促進させるトリッピングの方法によって,その下流で発達する乱流境界層でその速度・圧力相関分布に強く影響することがわかっている.一方で,平均速度分布,速度変動振幅分布に対してはほとんど影響していないことがわかった. その影響の度合いが違う原因について調べる前に,平成26年度ではそれらの影響を精度良く定量化することとした.そのため,乱流境界層の速度および長さスケールを支配している壁面せん断応力の高精度の測定が不可欠である.そこで,現状の分布より間接的に壁面摩擦応力を求める方法に加え,精度の高い測定が期待できるオイルフィルム法による測定を試みた.オイルフィルム法は壁面に薄いシリコン液膜を塗布し,その液膜が壁面摩擦応力により伸ばされ厚さが変化することを利用している.この厚さ変化を光の干渉を利用して求め,厚さの時間変化により,壁面摩擦応力を求めた.また,壁面摩擦応力と密接な関係が期待される,線形モードの移流速度の測定も行った. その結果,垂直な壁面でもオイルフィルム法により高精度な壁面摩擦応力が測定できること,壁面せん断応力から求められる壁面摩擦速度と線形モードの移流速度に比例関係があることが明らかとなった.また,線形モードは壁極近傍をほぼ一定速度で移流しており,この移流速度から逆に壁面摩擦係数が見積もれる可能性が示唆された.撹乱の移流速度は撹乱導入装置と壁面圧力センサーで測定できるので,壁摩擦速度の簡易測定技術の開発につながるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたイタリアの巨大パイプによる測定は,施設の稼働が27年度以降になることから,信州大学保有の施設での高精度壁面摩擦応力測定の実験に集中した.その結果,精度の高い測定には技術的に問題ないことが確かめられた.またイタリアの巨大パイプ稼働にかかわらず,高いレイノルズ数での実験を行うため,信州大学で大型チャンネル流実験装置を設計・製作した.装置はほぼ完成しており,平成27年度前半には測定が可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
高レイノルズ数の実験として,イタリアの巨大パイプによる測定準備を進めるとともに,大型チャンネル流での測定も行う.また,風洞による境界層実験は,オイルフィルム法での壁面摩擦応力により,速度分布および圧力速度分布に対するトリッピングの影響を定量的に調べる.これらの結果より多くの乱流等計量に対する影響の度合いがわかることで,トリッピングの影響のそれらの差異が生じる原因が明らかになるものと期待できる.
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Research Products
(6 results)