2013 Fiscal Year Research-status Report
二次元界面形状測定技術を応用した落下液膜の指状不安定化現象の実験的解明
Project/Area Number |
25420113
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 高啓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345951)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 接触角 / 接触線 / 指状不安定 |
Research Abstract |
今年度は色勾配情報変換(CCM)法を運動接触線近傍界面の測定に適用し,指状界面形成への濡れ性の影響を明確にすることを主たる目的として行った. CCM法の適用に当たっては,想定される動的接触角の最大値および指状界面形状の大きさを考慮し,測定可能な界面の最大傾斜角60°,撮影領域100mm x 100mmが確保されるよう,光学系を作成した.このシステムを用い,傾斜角2~10°の傾斜平板上を落下する液膜先端に生成される指状界面の形状および動的接触角の分布を測定した.測定は濡れ性の異なる条件を得るため,液体にはエチレングリコールおよび水を,固体面にはアクリルおよびアクリルに親水化コーティングを施したものを用いて行った.静止接触角は11°~45°であった. 実験では親水化コーティングを行わなかった時(アクリル)には指状形状界面が観察されたが,親水化を行ったとき(より接触角が小さなとき)には比較的短い三角形状(鋸刃型)が見られた.この違いは過去の研究でも観察される傾向と一致しており,接触角が原因であるとされる. これらの界面先端の動的接触角を測定した結果,親水化コーティングを行った場合の動的接触角はいずれの領域においても,親水化コーティングを行わなかった場合とほぼ同程度の値であることがわかった.このことから,発達する界面の形状は動的接触角ではなく,静止接触角に支配されることが見出された.また,動的接触角は速度に依存して変化することが確認され,その依存性はこれまでに2次元性を仮定して導かれたモデルと同様の傾向を示すことが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
色勾配情報変換法による動的接触角の2次元同時測定が可能となった.これを適用することにより,指状界面の成長における接触角を広い領域にわたって同時に測定を行い,界面発達形状に対する濡れ性影響を明らかにした.これらは当初目標に沿ったものであり,概ね順調に進展したといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
色勾配情報変換法を用いた動的接触角の測定法は確立されたが,精度について改善の余地があるため,精度向上を最優先課題として進める.これにより固体面性状が動的接触角の速度に対する感度に与える影響を明確にする.また,液体の界面張力の分布の影響についての測定も進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度測定を行った条件下では当初の予想よりも定常性および再現性が高く,保有していた静止画カメラシステムを用いた撮影が可能であった.これにより,撮影装置や光学部品の導入の緊急性が低下したため,導入を平成26年度以降にすることとした. 平成26年度以降は,流体の粘度や表面張力が変化した状態での条件下でも測定する予定であるが,これらは現象の時間的な変動が見込まれる.このため,連続撮影が可能なカラービデオカメラを導入する.また,当初の想定よりも画像の精度(ノイズ)が問題となることが判明したため,カメラ撮影画質の改善のために専用照明も検討する.
|
Research Products
(5 results)