2014 Fiscal Year Research-status Report
二次元界面形状測定技術を応用した落下液膜の指状不安定化現象の実験的解明
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25420113
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 高啓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345951)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 接触線 / 濡れ性 / 動的接触角 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,勾配色情報変換法(CCM法)を用いてフィンガー形成時および形成直前の界面形状を測定することにより,形成されるフィンガーの流路平行面内形状を決定する因子を見出すことを目的として研究を進めた.今年度は測定手法の改良のため,集光レンズ収差による影響を低減するために多点で校正を行う方法を検討し,精度の改善を得た.改善された手法により試料流体としてエチレングリコールを対象としてフィンガー形状の計測を行ったところ,先端の接触角が90度を超えるノーズ型となることがあることが判明した.このため,本年度はより粘度の低い,水とエチレングリコールの混合溶液を中心に行った. 流路の傾斜角を変えながら,形成される指状界面の形状パターンを整理したところ,接触角および粘度と流速を用いたモデル(Moyle(1999))で,表すことが可能であることがわかった.しかしながら,このときに用いられる接触角は静止接触角であり,実際に測定された接触線運動中の接触角(動的接触角)を用いた場合には本モデルでは整理できないことも明らかとなった.また,グリセリン水溶液を用いた実験も併せて行い,やはり上記Moyleのモデルは静止接触角を用いた場合にのみ界面形状を予測可能であることがわかった. また,CCM法を用いて動的接触角を測定したところ,フィンガーの先端および付け根部といったフィンガーの進行と接触線が直交する部分においては接触角は広く使われる半経験的モデルとよく一致した.一方,接触線の進行方向が接触線に直交しないと考えられる領域では,接触角はモデルでの予測よりも小さくなることがわかった.この領域での流れ場は接触線に直交する面に沿っておらず,接触線に平行な方向を持つであろうことから,これらの非平行成分が理論値からの原因と考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
指状界面形状の予測モデルの適用性の実験的検証を行い,その適用性を示すことができた.また,動的接触角が接触線の進行方向の影響を受けることも明らかにした.しかし,モデルの定量性検討にあたってさらなる測定精度改善が必要であることと,表面張力等の物性変化が界面形状に与える影響を調べるための実験体系の構築が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
フィンガー形成に向けての不安定化直前における動的接触角および界面形状をより詳細に測定し,瞬時の(動的)接触角がフィンガー形成に与える影響について考察するとともに,既存のフィンガー形状予測モデルにおいて,本来重要と考えられる動的接触角を用いた場合についてモデルが破綻する理由を明らかにする.これを行うためには測定精度のさらなる向上が必須であるので,光学系の設備更新等により引き続き精度の向上を進める.また,測定手法の限界を考慮し,より表面張力の小さいプロピレングリコールなどを用いた測定や温度等の条件を変えた測定も行い,それらの物性の影響を把握する.
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Causes of Carryover |
色勾配情報変換法による測定に際して,精度の改善に当初想定より時間を要したために温度等によって表面張力が変化した時の影響についての実験および測定系の製作に至らなかったことが原因である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に測定・光学系の精度向上のための部品・機器(集光レンズおよび高解像度カラーカメラ,照明)の購入および加熱可能な流路の製作に充てる予定である.
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