2014 Fiscal Year Research-status Report
DBDプラズマアクチュエータを用いた浮力噴流の拡散制御とバーナー火炎への適用
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25420132
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 元昭 日本大学, 理工学部, 教授 (70204998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ノズル / DBDプラズマアクチュエータ / 誘導流れ / 拡散制御 / 浮力噴流 / バーナ火炎 / 予混合燃焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,同軸型DBDプラズマアクチュエータ:DBD-PAの誘導流により,フェーズ1として,噴流初期領域の渦輪列を操作し,浮力噴流拡散制御を実施すると共に,フェーズ2として,拡散火炎の拡散混合の促進および火炎の安定化に適用した. フェーズ1について,DBD-PAは印加する電圧,周波数およびバースト制御により発生する誘起流れの速度や乱れが変わるなど,有効な特性を備えており,次の事が明らかとなった.(1) 流量一定のため噴流境界層の速度増加に伴い噴流中心の速度が低下する.(2) 空気噴流では噴流固有の速度変動周波数(プリファード周波数)の等倍,二倍の速度変動を与えると,プリファード周波数を増幅させるため噴流の不安定性を促進し,ノズル近くで渦輪の発達が大きくなるため,速度ポテンシャルコアが崩れるのが早くなる.(3) プラズマの発生しない時間が短い場合は,渦と渦の重なりがノズル出口付近で起こり,渦が噴流中心に到達しにくくなる.(4) プリファード周波数と同じ誘起速度変動でプラズマの発生時間を50%とした場合,渦輪の発達を最も促進させ,ノズル出口付近で噴流が拡散する. フェーズ2について,DBD-PAでプロパン層流火炎の制御を試み,以下の知見を得た.(1)当量比φ=0.80において,電圧印加すると火炎の吹き飛びを抑制できた.この抑制効果はラジカルによるものだと考察した.(2)バーナ火炎の分光実験よりOH,CH,C2に相当する波長のピークが確認され,また,電圧を印加,さらに増加すると,各波長のピークが増加するため,プラズマには火炎の燃焼促進効果があると考えられる.(3)予混合火炎に高電圧を印加した場合,プラズマによる燃焼促進効果よりも同軸型DBDプラズマアクチュエータの誘起流れにより境界層付近の速度が上昇し(フェーズ1の(1)の影響),火炎形状が不安定になり失火しやすくなる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,同軸型DBD(Dielectric Barrier Discharge)プラズマアクチュエータ:DBD-PAの誘導流により,フェーズ1として,噴流初期領域の渦輪列を操作し,浮力噴流拡散制御を実施すると共に,フェーズ2として,拡散火炎の拡散混合の促進および火炎の安定化に適用する. フェーズ1の浮力噴流拡散制御に関連して、平成25年度はDBD-PAを空気よりも重い二酸化炭素と空気よりも軽いヘリウムに適用したが、ヘリウムの場合はイオン化傾向の違いより短絡が起きてしまい一軸のノズルでは電圧印加が難しいことが分かった。これを改善するために平成26年度は、ノズルを同軸二重ノズルとして中央流は二酸化炭素またはヘリウムとし、外部ノズルにDBD-PAを配置し、さらに空気を送風する実験を実施した。同軸二重ノズルにより外周噴流にはDBD-PAの変動は確認できるものの、この影響は中央噴流まで到達せず、思ったような拡散制御効果が得られなかった。これは、誘導流自体の速度が十分ではないこと、また、誘導流の影響が外部に逃げてしまうことが考えられる。 フェーズ2のバーナ火炎への適用に関しては、火炎の吹き飛び抑制効果が確認できたことは大きな成果である。ここで、DBD-PAの影響は誘導流による効果とラジカル生成による影響の二つが有ることが明らかとなりつつある。ここで、両者の影響がどの程度の割合で影響を表すかの見極めも必要である。さらに、本来の課題から派生してしまうが、DBD-PAから発生すると考えられるオゾンから各ラジカルへの反応経路を見出すことも大切な新たな課題と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
DBD-PAの誘導流により,フェーズ1として,噴流初期領域の渦輪列を操作し,浮力噴流拡散制御を実施すると共に,フェーズ2として,拡散火炎の拡散混合の促進および火炎の安定化に適用する. フェーズ1では、平成25年度及び26年度において、DBD-PAを様々な気体噴流に対応させるべく取り組んだが、使用気体のイオン化傾向により電極の配置が難しく、同軸二重ノズルとすると誘導流が効果的に中央噴流に到達しないなどの理由から、浮力噴流を充分に操作できるようになったと云うことはできない。平成27年度は再度、ノズル形状と電極配置の試行錯誤を徹底的に実施して望ましい形状をつきとめる予定である。このため、平成27年度に予定されている、二酸化炭素とヘリウムの噴流拡散の濃度分布測定までには実験が至らない可能性がある。 フェーズ2では、DBD-PAの誘導流とプラズマから生成されるラジカルの二つの効果がバーナ火炎に影響することが明らかとなった。前者の影響をさらに実験的に考察するため、電極に工夫を凝らして、誘導流の方向をノズル内の流れに対して順方向と逆方向を発生できる構造として、誘導流効果を明らかにする。また、後者の影響に関しては、火炎の分光強度の増加がラジカルの生成の量的なものなのか、または何か他の影響なのかを明らかにすること、さらに、プラズマ発生が如何にラジカル生成に繋がるかの反応ルートを明らかにすることが挙げられる。後者に関しては派生的な事項ではあるが、本手法に関連して極めて重要な内容が含まれていることから追加研究とする予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度で計画した物品費およびその他を支出したが、165,623円の残金が出たため、次年度に有効使用するために繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に計画しているマコール製ノズル製作等の消耗品費用に組み入れる。
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Research Products
(6 results)