2014 Fiscal Year Research-status Report
微小スケールにおける表面張力に関連する効果を利用した液操作に関する数値解析的研究
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25420135
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 恭史 関西大学, システム理工学部, 准教授 (90330175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面張力 / 濡れ性 / マランゴニ効果 / 微小スケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,微小スケールにおける液操作について,特に表面張力と濡れ性に着目して,有効な液操作方法・条件について,数値解析によって解明することを目的としている.液に作用する力は,長さスケールが小さくなると,体積力(重力・浮力・慣性力)・面積力(圧力・粘性摩擦応力)に比べて,長さ当たりの力である表面張力の影響が相対的に大きくなる.その状況で,界面活性剤の吸着や温度勾配が生じれば,表面張力の不均質による流動(マランゴニ効果)が,また,温度変化や電気的な影響による固体表面の濡れ性変化が大きな影響を及ぼす.本研究では数値解析により,これら表面張力に関連する各要素の相互作用を検討し,実用的な液操作に関する重要な知見を得ることを目的としている. 今年度は,昨年度シミュレーションを行った各種物性の温度依存性のうち,特に影響の大きかった「密度の温度依存性」に着目し詳細な検討を行った.密度の温度依存性を考慮したシミュレーションでは,考慮しなかったものの2倍程度の速度で液滴が移動することとなった.その原因を解明するため,液に作用する各力(表面張力による力,圧力,粘性応力)を抽出し,比較・検討を行った.すごく微妙な力のバランスのため,密度場と流れ場の相関をより詳細に調べる必要があるため,引き続き検証を行う. また,壁面の濡れ性表現について,計算格子に沿わない固体面に対しても適用可能な手法も開発し,より適用範囲を広げることが出来た. また,Electrowettingについては,簡易モデルによるコードが完成し,複数の電極を模した境界条件の設定が行えるようになり,他者の実験結果と比較して妥当性を検証している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的である,液操作に影響を及ぼす要因の検討について,物性の温度依存性が予想外の大きな影響を及ぼしそうであることが分かった.その理由・メカニズムについて,詳しく調べられることが出来れば,設定した研究目的を達したことになるはずで,それを進めている所である. Electrowettingについても,簡易モデルによるシミュレーションコードの妥当性の検討を行えるほど,いろんな条件での計算が可能になっており,現象に大きな影響を与える要因を抽出出来れば,目的達成となる.電場解析のコーディングについて,必要な基礎式の表現,現状の流体計算モデルのどの部分とどのように関連されるのがよいか,等いまだ検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,微小スケールにおける液操作の具体的な条件下でのシミュレーションと,実験では明白でない因子の検証を行う.特に密度の温度依存性を考慮する際に,計算モデルに問題がある可能性も考えられるので,計算モデルの検証に立ち戻って,丁寧に評価・検証を行っていく. 界面を表現する要素上での電荷の帯電の様子と電場の方程式の表現方法について,モデルを構築し,コーディングを行う.
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Causes of Carryover |
国際会議での発表を予定していたが,発表出来そうな成果が出たタイミングでは適切な国際会議がなかったため,旅費の使用が予定より少なくなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大量のデータを保存するためのメディアの購入に物品費を,国際会議を含めた学会発表に旅費を,研究協力者への謝金,英語論文の校閲にH27受入額を使用予定であるが,H26からの繰越額は,最終年度に確実に成果を出すため,研究協力者への謝金に充てる.
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Research Products
(3 results)