2014 Fiscal Year Research-status Report
流体-構造インタラクションを考慮したOSAS成因メカニズムの解明
Project/Area Number |
25420136
|
Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 高久 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10345960)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 数値流体力学解析 / 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,閉塞時睡眠時無呼吸症候群(以下,OSAS)の成因メカニズム解明のために,流体ー構造連成解析ならびに生体模型を用いた流れの可視化実験を行うことを目的としている。昨年度はOSASの根治治療法である口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(以下,UPPP)により症状が改善した1症例に着目し数値流体力学解析(以下,CFD)を実施した。その結果,最狭窄部断面積とAHI(OSASの重症度を表すパラメーター,睡眠1時間当りの無呼吸と低呼吸の合計回数,5~15で軽度,15~30で中等度,30以上で重度と診断される)とには相関が認められないことが明らかになった。 そこで本年度は解析症例数を増やし,OSAS,UPPP,AHIとの相関,ならびに鼻咽頭の形態変化に着目してCFD解析を実施した。その結果,鼻咽頭の空気容積はいずれの症例においても大きく変化していないこと,鼻咽頭の形態が変化(狭窄部が大きく開大される一方で,喉頭の断面積が減少)していることを明らかにした。本研究結果は,UPPPによるOSAS改善は鼻咽頭全体の形態変化に帰着していることを示すものと考えられる。 他方,OSAS狭窄部を想定した狭窄管路モデルを作成し,流体ー構造連成解析(以下,FSI)により,狭窄部位の変形と狭窄部後流との相関を明らかにした。その結果,狭窄部の変形・振動とともにストローハル数は増加するものの,極値が存在する可能性が示された。実際のOSASでは狭窄部の振動が狭窄部後流を不安定化させ,ひいてはいびきなどの無呼吸・低呼吸状態に至るものと考えられる。本解析結果はOSAS成因メカニズムの一端を担っているものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要で示した通り,CFD解析,FSI解析によりOSAS成因メカニズムの解明を進めている。その結果,AHI,狭窄部断面積との相関や狭窄部変形と狭窄部後流特性との相関を明らかにした。これら解析については概ね順調に研究が進捗しているものと考えらる。他方,生体模型の製作,流れの可視化実験においては,模型の試作を繰り返しているところであり,今年9月を目処に実験を開始予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点において,UPPPを受けたOSAS3症例の解析が完了している。今後の研究の推進方策としては,1)他症例について鼻咽頭領域のUPPP前後の形態変化を定量的に評価する,2)CFD解析,FSI解析によりAHI,狭窄部位面積,鼻咽頭領域の圧力損失との相関を明らかにする,3)生体模型を用いた流れの可視化実験を開始する,を予定している。前者2つについては既に成果が出つつあり,継続していく。後者については当初予定よりも模型の試作回数が多くなっているが,可視化実験方法は既に確立済みである。
|
Causes of Carryover |
前年度,可視化実験に耐えうるクオリティ(表面性状や透明度など)の生体模型を製作するに至らなかったが,今年度は製造方法の見直しをかけ,咽頭ー喉頭領域の後背から可視化実験が実施可能な模型の製作まで行った。しかし同領域には狭窄部が存在しており,極めて複雑な流れ場を構成している。このような場の計測には多方向からの可視化が必要不可欠であるが,現模型はインデックスマッチングをしても多方向計測に耐えうるクオリティーを有していない。そのため,引き続き模型の試作を行うことになり,次年度以降での支出が必要となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
FSI解析の実施に要する環境整備ならびに可視化実験用模型の試作に研究費を充当する予定である。
|
Research Products
(4 results)