2014 Fiscal Year Research-status Report
電気絶縁性液体に電界を印加した場合の沸騰熱伝達促進に関する研究
Project/Area Number |
25420146
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鹿野 一郎 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10282245)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱伝達促進 / 沸騰熱伝達 / 電気流体力学 / 静電圧力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,低温度域(65℃~100℃)で,スーパーコンピュータのCPUの発熱(80W/cm^2)よりも高く,光通信や機械加工に使われるレーザーダイオードの発熱(100W/cm^2)にも対応できる沸騰冷却法を研究する.冷媒には電気絶縁性の不活性液体を採用する.これが実現できれば,小型でメンテナンス性の良い冷却が可能となり,高性能で省スペースな冷却装置を提案できる.また,水の沸点以下の温度(65℃から100℃)の工場排水で稼働できる蒸気タービン型発電装置などへの応用も期待できる. 本研究では,電気流体力による沸騰熱伝達促進機構を明らかにし,さらに冷却能力の高いマイクロ熱交換器を開発することを目的としている.そのために,電界によって蒸気泡の挙動が制御できるマイクロオーダの最適電極形状を提案し,この電極を組み込んだ飽和プール沸騰実験を行った.前年度で沸騰メカニズムの構築を試み,沸騰促進効果について知見を得ていた.このメカニズムを参考にして,Zuberによる限界熱流束(CHF)予測式を応用して,蒸気泡と液体の界面に働く静電圧力を考慮した予測式を導き出した.その結果,予測値は実験結果とよく一致し,CHFはマイクロ電極の設置高さ,電界の強さに依存することを明らかにした.CHFは,プール沸騰において20W/cm^2であったものが,電界印加による促進で86W/cm^2まで増加した.さらに,ダイヤモンド電着による沸騰伝熱面の微細構造化により,CHFの促進を維持したまま過熱度を低くできることを明らかにした.本年度に得られた以上の結果は,査読付き論文1件,査読付き国際会議1件,及び査読無し国内会議1件で報告された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電界印加による沸騰促進による解析が順調に進み.沸騰メカニズムが明らかになった.解析式は,電極高さ,静電圧力効果,及び電極幅の3つの変数で構成されており,本年度はそれぞれぞれの効果について実験値と理論値を比較しながら考察した.3つの変数の変化に対して実験値と理論値は良い一致を示し,モデル妥当性を確かめた.さらに,ダイヤモンド電着による沸騰促進に関しても実験を行った.表面の微細構造化による促進は接触角の変化に依存していることを見出し,半理論解析によりそのメカニズムを明らかにししつつある.以上から,沸騰促進モデルの構築のための実験データの整理と理論構築は順調に進み,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
理論解析が進み実験データとの比較検証が重要な課題となっている.特に,ダイヤモンド電着による表面微細構造化による沸騰促進が液体と伝熱面との接触角に依存している点が興味深い.従来の沸騰促進効果は表面粗さや気泡核の数などとの関連性が指摘されている.しかし,本研究で採用している微細径ダイヤモンド電着による表面微細構造化では,濡れ性の向上が重要なファクターであり,静電圧力効果との相乗効果も見られる.従って,実験データを蓄積してデータの再現性を含めて理論式の検証を重点的に行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は3,118円であり,ほほ計画通りに支出されている.次年度使用額が生じた理由は,実験に必要な消耗品を購入するために繰り越したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,実験に必要な消耗品を購入するために使用する予定である.
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