2014 Fiscal Year Research-status Report
微小火炎の燃焼促進に最適な火炎サイズ・伸長度の決定因子の解明
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25420162
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中原 真也 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20315112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 予混合燃焼 / 微小火炎 / 燃焼速度 / 火炎サイズ / 火炎伸長 / 水素 / 希釈ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる本年度は、層流燃焼速度を揃えた水素(炭化水素)-酸素-希釈ガス混合気において、層流燃焼速度、さらに希釈ガスとして窒素に加え二酸化炭素、アルゴンおよびヘリウムを対象に、火炎半径が5mm以下の微小火炎の燃焼速度特性について検討した。 水素-酸素-希釈ガス混合気において、当量比1.0および0.7で、層流燃焼速度を25~90cm/sの範囲で変化させ、微小火炎の燃焼速度特性について検討した。その結果、希釈ガスとしては、当量比1.0では、二酸化炭素のみ、微小な火炎サイズ領域で燃焼促進効果が現れることがわかった。さらに、燃焼速度に対して最適な火炎半径や火炎伸長度は、当量比に加え希釈ガスの種類に強く依存するものの、層流燃焼速度すなわち化学反応特性時間には殆ど依存せず、概ね決定されることが明らかになった。また、希釈ガスをヘリウムとした場合は、当量比1.0で層流燃焼速度を90cm/s程度まで大きくしないと燃焼可能とならず、その微小火炎の燃焼特性は著しく低いこともわかった。一方、当量比0.7で窒素を希釈ガスとした混合気に対して、昨年度提案した燃焼促進効果量推定法により、微小火炎の領域における火炎伸長度に伴う燃焼速度促進効果量および当量比増加効果量の予測を試み、上述の化学反応特性時間が与える影響を定量的に議論した。 メタン-酸素-希釈ガス混合気に対して、当量比1.0で希釈ガス(ヘリウムを除く)や層流燃焼速度の影響を検討した。基本的には、上述の水素と同様の傾向が得られた。 一方、微小火炎の火炎性状を明らかにするために、静電探針および局所自発光のCH分光の計測をプロパン混合気を対象に実施した。静電探針の受感部長さや分光計測位置の影響について基礎的なデータを取得した。 また、直径10mmの円柱状内形状を有し、高さを12~5mm程度に変化できる定容燃焼器を製作し、予備的な実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、当初の計画のとおり、異なる希釈ガスの種類および層流燃焼速度を変化させた混合気を対象に微小火炎の燃焼速度特性を明らかにできた。また、微小火炎の火炎性状の観測のための静電探針および局所自発光の分光の計測システムを構築し基礎的なデータの取得を開始できた。さらに、微小な火炎の燃焼特性と燃焼室壁との関係を検討できる、超小型の定容燃焼器を準備できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成27年度は、微小火炎の燃焼を促進も抑制も可能な燃焼モデルを構築するために、対象とする混合気の種類をさらに拡大し反応物の分子拡散特性などの影響について検討する。 具体的には、層流燃焼速度を揃えた水素-炭化水素-酸素-希釈混合気において、引き続き層流燃焼速度や希釈ガスの種類を変化させるとともに、さらには燃料や希釈ガスを2成分組み合わせた混合気も対象にし、反応物のルイス数や分子拡散特性の影響に注視して微小火炎の燃焼速度特性について明らかにしてゆく。 さらに、静電探針や局所火炎自発光の分光法を組み合わせた計測システムにより、火炎半径5mm以下の微小火炎の火炎帯厚さや火炎活性度などの火炎性状を評価することを試みる。 また並行して、微小な火炎の壁での熱的や化学的な効果による消炎の影響について検討するために、製作した超小型の燃焼器を用いて狭隘空間での燃焼特性を把握し評価する。 最後に、これら得られたデータから、微小火炎の支配因子および燃焼促進機構の解明を行う。さらに、ルイス数、マークスタイン数や分子拡散特性に基づく微小なサイズの火炎の燃焼速度に最適な火炎サイズ・伸長度を予測する燃焼モデルの提案を試みる。
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Causes of Carryover |
平成28年3月に米国で開催されるThe Pacific Rim Thermal Engineering Conference (PRTEC2016)に出席する旅費を確保するためである。本国際会議は、4年に一度開催される燃焼のみならず熱工学に関わるすべて分野の最新かつ最先端の研究に関して講演・討論できるシンポジウムであり、出席する意義は大きい。 さらに、本研究では高速度カメラや光源など高価な機器を使用しているが、故障した場合は本研究の遂行が困難になる。そこで、その修理費も高価であるため、その予備費として繰越させて頂いた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費は、本研究を推進するために有意義に使用させて頂きます。 具体的には、3月に開催される国際会議への旅費および参加費に、また修理費としての予備費は破損してしまった観測窓等の光学部品や燃焼器部品などの購入を予定している。
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