2014 Fiscal Year Research-status Report
微細流路内のO/Wマイクロエマルションの熱流動特性の解明
Project/Area Number |
25420168
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
熊野 寛之 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (30262299)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エマルション / 安定性 / 粒径分布 / 流動特性 / 熱伝達特性 / マイクロチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水と油の混合物であるエマルションを,微細な流路内に流入させたときの,流動特性および熱伝達特性を把握することを目的としている.平成26年度は,幅が10mm程度,高さが1mm以下,長さが100mm程度の矩形の流路を持ったマイクロチャネルを作成し,その流動特性について検討を行った.試料には,分散相としてシリコンオイル,連続相として水を用いた.界面活性剤としては,過去の研究で十分な効果が期待できるイオン系界面活性剤を用いた.エマルションの生成方法としては,攪拌機で水を攪拌しながら,オイルを滴下していく機械的攪拌による方法とした.エマルションの組成としては,オイルの割合を10%から50%の範囲で変化させた.こうして得られたエマルションをマイクロチャネルに流入させ,その際の圧力損失の測定を行った.また,流路の高さも,0.3mm,0.5mm,0.8mmと変化させ,流路高さの影響についても検討を行った. 平成25年度の検討において,レオメータを用いて,レオロジー特性の評価を行ったところ,本研究で扱った範囲では,非ニュートン性を示すことはなく,概ねニュートン流体として扱えることがわかっている.この結果を踏まえ,圧力損失の結果から,エマルションの見かけの粘度の算出を行った.その結果,10mm程度の配管にエマルションを流入させた場合の見かけの粘度と比較して,微細流路内の流入させた際の見かけの粘度は小さくなることがわかった.これらの傾向は,分散相であるシリコンオイルの割合が増えるほど,また流路高さが小さくなるほど顕著となることがわかった.これは,流路に対して,分散相の大きさが相対的に大きくなることにより,流動特性が変化したものと考えられる.また,見かけの粘度は,分散相の粘度にも影響を受けることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,エマルションの流動特性を把握することを目的とした.高さが1mm以下である矩形のマイクロチャネルを作成し,そこへ機械的撹拌により生成したO/Wエマルションを流入させることにより,圧力損失を測定した.これらの検討を踏まえて,平成27年度には,同じ矩形流路を用いて熱伝達係数の測定を行い,流動特性と合わせて,マイクロチャネル内でのエマルションの流動・熱伝達挙動についてその特性の把握を実施する予定である.特に27年度は,本研究の最終年度であり,平成25年度からの総括も実施する予定である. 以上のように,平成27年度での総括に向けて,エマルションの安定性,エマルションの流動特性までの把握を概ね完了しており,最終年度の熱伝達特性の把握を残すのみであり,おおよそ計画通りに実施されており,概ね順調に進展しているものと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度でのエマルションの流動特性の結果を踏まえて,エマルションを微細な配管内に流入させた場合の伝熱特性について実験的に検討を行う.実験装置は,幅が10mm程度,高さが1mm以下の流路を持った,熱伝達測定用の装置を作成する.測定区間では,板状の銅製伝熱面をヒーターで加熱し,伝熱面の表面温度を測定することにより,熱伝達係数の算出を行う.この際,エマルションの見かけの粘性係数,熱伝導率などの関係から,単相流の場合と比較を行い,エマルションの伝熱挙動について比較検討を行う.また,エマルションの組成や,分散相の大きさなどを変更することにより,エマルションの性状を変化させて,これらの影響についても検討を行う予定である. また,27年度は本研究の最終年度であり,これまでの検討結果を総括することにより,エマルションの微細流路内での,流動・伝熱挙動についてその特性の整理を行う.
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