2013 Fiscal Year Research-status Report
アルコール噴霧の自着火現象支配要因に関するデータベース構築
Project/Area Number |
25420171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
齊藤 弘順 崇城大学, 工学部, 教授 (00331059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 浩二 崇城大学, 工学部, 准教授 (00454950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルコール / ディーゼル機関 / 自着火 / 燃焼 / 再生可能エネルギー |
Research Abstract |
本研究は再生可能バイオマス由来のアルコールを燃料とする定置型/移動型転用可能な汎用高効率アルコールディーゼルの実現を目指している。のキー技術となるアルコール噴霧の着火・燃焼制御技術を確立すべく、アルコール噴霧の自着火支配要因に関するデータベース構築が本研究の目的である。 H25年度はこれまで実施してきた系統的な混合気形成・自着火現象の可視化実験に対し、パラメータ範囲を拡大させて継続する計画であった。実験パラメータである噴霧周囲ガス条件(圧力、温度、酸素濃度)に対し、計画通り更なる高温条件(850K,875K)および高圧条件(2.8MPa,3.0MPa)にて実験を行った。実験にはエタノール(E)とジエチルエーテル(D)の混合燃料を用い、ED混合割合を変化させることで燃料物性(自着火主要因子は理論空燃比と蒸発潜熱)が着火遅れに及ぼす影響を調べ燃料毎のデータベース構築を目指している。 アルコール噴霧の自着火性の悪さは石油系燃料と比べその物性から早すぎる希薄化と遅すぎる高温化によって着火適正濃度・温度の同時的成立が困難であることが明らかになっている。この知見からすると周囲ガスの高圧化ならびに高酸素濃度化は噴霧希薄化を促進させる。しかし、高圧化はガスの高密度化を意味するため、燃料噴射によって噴霧内に誘引されるガスによる供給熱量の増大を意味し高温早期化にも寄与する。つまり、周囲ガスの高圧化は自着火性改善に対し正負両方の影響を持つ。H25年度の実験結果から、周囲ガスの高圧化が自着火性改善に寄与するためにはある一定の周囲ガス温度以上である必要があることが明らかになった。この周囲ガス温度の閾値は燃料によって異なり、E混合割合を高めるほど温度の閾値は上昇することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では実験と数値計算を同時進行させることになっている。実験については研究実績の概要にもあるように概ね当初の計画を達成している。目標とする自着火制御のためには燃料物性に応じて周囲ガス条件を変化させ、噴霧による混合気形成過程において自着火現象が噴霧濃度成立時に着火適正濃度・温度の同時的成立を達成させることが重要である、つまり自着火現象に対し濃度要件支配とする混合気形成を実現する必要があることを示した。 数値計算についてはエンジン燃焼専用解析ソフトの購入が当初より遅れたため、まだ研究成果と言えるだけの結果が得られていない。購入予定であった解析ソフト(米国ライセンス)については日本の代理店(㈱IDAJ)と当該ソフトのデモンストレーションを含め何度もそのスペックを入念にチェックし、本研究目的を達成するために十分な機能を有していることを確認した。その後に導入に向け基礎トレーニング(上記IDAJの専門スタッフによる講習会)を受け、平成25年12月に正式購入した。平成26年1月から3月末(H25年度末)まで当該数値解析ソフトの習熟に注力した。当初の研究計画ではH25年度中に解析ソフトの習熟を終え、本研究へ本格活用する予定であったが、この点が少々遅れている。しかし、その遅れはH26年度に十分リカバーできる程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験についてはH25年度に実施した周囲ガス高温・高圧条件下で酸素濃度を変化させた噴霧可視化実験を追加し、アルコール噴霧の自着火支配要因に関するデータベース(各パラメータが着火遅れに及ぼす影響を定量的に表す3Dマップ)の完成を目指す。また、H26年度は数値計算を活用し、燃料噴射条件(噴孔径、噴射圧)の違いによる噴霧内空間濃度・温度分布の時間履歴を求め、自着火制御技術確立に向けた設計指針を得る。また、現有設備ではスペック上実験困難な周囲ガス条件に対し、自着火に至るまでの混合気形成過程のシミュレーションを実施し、実機運転条件におけるアルコール噴霧の自着火制御の可能性を探る。これらの実験・数値解析結果から既存技術では対応が難しいという結論に至れば燃料改質(研究計画にある紫外線照射による燃料の前処理)に向けた研究を推進する。
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Research Products
(3 results)