2014 Fiscal Year Research-status Report
モード局在化と自励振動を利用したマイクロカンチレバープローブによる超精密質量計測
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25420195
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藪野 浩司 筑波大学, システム情報系, 教授 (60241791)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 質量計 / 自励振動 / マイクロカンチレバー / カンチレバーアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに理論ならびにマクロカンチレバーによる実験により提案された、微小質量検出方法の実用化を検討した。具体的には反応性深堀エッチング技術などのMEMS技術をつかって、連成マイクロカンチレバーを試作した。さらに、二つのレーザードップラー振動計を用いた各カンチレバー速度の計測のための光路系を製作した。連成の大きさによる質量計測精度への影響を考察した。さらに、カンチレバーを自励発振させるためのアナログ回系を製作し、自励発振実験を行った。線形フィードバックゲインを変化させると、システムの固有値が右反平面に入り、自励発振が生じるが、線形モードを計測するために、できるだけHopf分岐点近くにフィードバックゲインを設定する必要があることを明らかにした。また、振幅を押させるために非線形フィードバックを行いvan der Pol振動計と等価なダイナミクスをカンチレバーに発生させる方法を提案し、それを実現するためのフィードバック回路を製作した。 上記システムを用いて実際に実験を行った。ナノグラムオーダーの質量(市販のマイクロビーズ)を大気中で測定した。本システムの特徴は、自励振動を用いているため特別な真空装置を必要とせず、いわゆるQ値が大きい状態と同様な測定環境下での計測を実現できる点にあるが、その特徴を生かして、ナノグラムオーダーの質量測定が1%程度で実現できた。 さらに、本手法は、その原理的特性から液中すなわち高粘性環境下でも測定可能であるという特徴をもつ。そこで、カンチレバープローブを液中につけて観察可能な装置の試作・設計を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンチレバーの試作を繰り返し、所望の連成効果を有する連成カンチレバープローブを製作できた。また、自励発振をさせるための測定光路系および制御回路系が当初予定通り完成し、実験を開始できた。さらに実際に質量測定を行い、従来研究の精度をはるかに凌ぐ精度で、微小質量測定が達成された。また、従来では不可能であった、大気中での高精度微小質量測定が可能になった。以上の成果から(2)おおむね順調に進展している、との自己点検評価結果とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に設計製作を始めた、液中観察用の装置を使って、自励発信型マイクロカンチレバープローブをつかって液中観察をおこなう。本観察により、従来手法に対する提案手法の優位性が明確になる。さらなる微小質量観察に向けて、装置を改良して実験を進めるよていである。また装置の微小化により、測定環境からの非線形粘性効果が相対的に増大することが、予測されるため、それらの影響がどの程度であるかを明らかにするための実験も行いたい。
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Research Products
(2 results)