2015 Fiscal Year Annual Research Report
モード局在化と自励振動を利用したマイクロカンチレバープローブによる超精密質量計測
Project/Area Number |
25420195
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藪野 浩司 筑波大学, システム情報系, 教授 (60241791)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 振動 / ナノ・マイクロシステム / 非線形力学 / モード局在化 / 自励振動 / バイオセンサー / レゾネータ / カンチレバー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、自励発振を利用した連成マイクロカンチレバープローブを開発し、特殊環境下超真空環境下)ではなく大気中で、ナノグラムオーダの精度で計測できることを実験的に明らかにした。マイクロカンチレバープローブはMEMS製造における特殊プロセスによって製作した。また質量計測検証のための参照質量は市販のマイクロビーズをもちいた。最終年度は、生体試料の質量計測に向けて、液中での質量測定実験を検討した。この場合、連成カンチレバープローブを液中に入れるためマイクロビーズはその影響で離脱してしまうため利用できず、質量検定用の新たな方法を構築した。すなわち、2本のカンチレバーのうちの一つにナノスクライブで既知の質量をいくつか付加し、それを実験ごとに削ることにより、様々な質量がカンチレバー先端に付加している場合を模擬する方法である。このような実験装置を用いて、自励発振されたマイクロカンチレバープローブにより質量計測実験を行ったところ、水中でもナノグラムオーダーの精度で、質量計測が可能であることが確かめられた。自励発振を用いた本手法は本来環境粘性を完全に補償できる方法であり、本実験結果は当然の結果と考えられるが、実際に液中でナノグラムの精度で質量計測が可能であることを示したことは、提案手法の妥当を裏付けるだけでなく、本手法がさらに幅広い分野で具体的に応用されていくものと期待される。今後は連成マイクロカンチレバープローブをより微細化して、さらなる微小な質量計測の実現を目指す。
|