2014 Fiscal Year Research-status Report
摩擦を利用した把持・操りの接触力の不確定性に対する安定性解析とその判別法の確立
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25420209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
相山 康道 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60272374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マニピュレーション / 位置制御 / 接触力 / 不静定問題 / ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に,マニピュレータと環境による対象物の把持状態の安定性判別手法の3次元化を行った.位置制御マニピュレータを用い,環境との間に摩擦が存在する場合,その接触力は一意には定まらず,不確定性が存在する.しかし,その不確定な接触力の候補の中に,過大な接触力となるものがなく,かつ,安定な釣り合いを満たすものが存在する場合には,安定にその接触状態を維持できる,もしくは,不確定な接触力の候補の中に,過大な接触力となるものがなく,かつ,望みの運動方向に矛盾しない接触力となるものが存在する場合には,安定にその方向へ操作できる可能性があることが,これまでの2次元の研究で明らかとなっている.このような条件を満たす解が存在するか否かは,線形計画法を用いることで求められた. 今年度はこの判別方法の3次元モデルへの拡張を行った.3次元化する際には,扱う問題の次数が増加するだけではなく,摩擦力の表現方法の問題が起こるため,単純に2次元から3次元への拡張を行うことはできない.2次元空間では摩擦円錐は三角形となるため,その中の接触力候補は2本の稜線ベクトルを基底としてその線形和で表せる.しかし3次元空間では摩擦円錐は円錐であり,線形独立な3本の基底の線形和で表すことはできない.三角錐で近似すると可能ではあるが,円錐と三角錐では形状が大きく異なり,推定の精度が著しく落ちることが懸念される.そこで,六角錐,八角錐など円錐に近い近時とした場合,稜線ベクトルが線形独立とはならず,2次元の際のままの拡張はできない.接触力の表現が冗長な稜線ベクトルの線形和で表されることとなるが,それでも,2次元の際と同様の条件で,満たすような解の候補があれば,安定に静止可能であることを定理の証明の形で明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3次元モデルの定式化について,静止条件については定式化が完了し,今後動作させる場合についても同様に進めて行けると考えているが,まだ完成はしていない.また,実証検証は進めてはいるが,まだ結果を取りまとめる段階まで進めてはおらず,この点でもやや遅れている,と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は最終年度であり,しっかりと当初の目的を達成できるよう,進めていく.実証実験,定式化ともに進捗の目処はたって入るため,まずは早急にこれらを達成させる.また,27年度の計画として,双腕やシンプルな自動組立機などの様々な形態について定式化が通用することを目標としているので,これらをシミュレーション等も用いて進めていく.最終的に,産業応用からサービス分野まで幅広く応用できることを示すことを目標として,学会発表,論文投稿へと進めていく予定である.
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