2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保坂 寛 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (50292892)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジャイロ効果 / 発電機 / モーター / 風損 |
Research Abstract |
移動体の振動を電力に変換するジャイロ発電機の基本特性を理論と実験により明らかにした. 1.理論解析 発電性能の主要因のうち,ジャイロ効果,軸受抵抗,風損を解析した.ジャイロ効果については,トルクが自転速度に比例すること,歳差の固有振動数は回転数に無関係なこと,発電量は歳差の共振時に極大となること,損失がない場合の発電量は自転速度の3乗に比例することが分かった.軸受抵抗については,ピボット軸受は,流体軸受と玉軸受の損失の半分程度あり最も優れること,損失は自転速度に比例することが分かった.風損については,14,000rpm以下では層流であり,損失は自転速度の2.5乗に比例すること,4000rpmで風損はピボット軸受損失の10倍となり,後者は無視できることが分かった.以上から,ロータ半径40mm,自転速度6000rpm,加振振幅1degの場合について,モータと電磁誘導部の効率80%と仮定して損失を差し引いた発電量を計算し,0.7Wとなり,実用的な発電量を得る見通しを得た. 2.実験装置 理論解析結果を検証する実験装置を製作した.DCモータを外付けしたロータを2重ジンバルで支持し,歳差軸に永久磁石を固定し,電磁誘導により発電する.各ジンバルの回転はエンコーダにより計測する.実験により,歳差の固有振動数は自転速度に依存しないこと,入力振動が歳差共振時に発電量最大となることを確認した.以上により,理論の妥当性を定性的に確認した. 3.プロトタイプの製作 外形300×160×50のラージモデルを製作した.実験装置に比べ,電磁誘導効率を上げるため歳差軸に増速ギヤを装着したこと,永久磁石の慣性力を低減するためラチェットを挿入したこと,ロータに永久磁石を内蔵し,ロータがモータを兼ね,薄型化としたことが改良点である.正弦加振により,わずかであるが発電し,基本構成の妥当性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画に対し,25年度計画は概ね達成し,26年度および27年度の計画も一部実行した.25年度計画に対する達成度は以下である. 1.正弦波およびランダム振動に対する応答を求め,発電量の概略値を求める → 正弦波振動に対する応答と発電量を求めた. 2.風損について,層流を仮定できる10,000rpm まで損失を計算する. → 予定通り実施した. 3.流体軸受と転がり軸受に対する損失を計算する. → 流体軸受と転がり軸受に加え,ピボット軸受の損失を計算した.またピボット軸受が最も優れることを示した. 4.ロータ運動を検証する実験装置を製作する. → 実験装置を製作し,理論の定性的な妥当性を確認した. さらに,26年度計画であるロータ内蔵モータの設計を実施し,27年度計画である発電部の製作とプロトタイプの製作に着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.発電電圧のフィードバックによる自転増速 本発電機は,自転速度が高いほど発電量が増大する.これに着目して,発電機の発生電力を自転モータにフィードバックする正帰還制御を行う.本方法により,入力振動が一定であっても発電量は指数関数的に増大することが期待できる.これは,当初計画通りの実施内容である. 2.コリオリ力を用いた発電. 本年度はコマ式ジャイロを用いたが,大幅な小型低価格化が可能なコリオリ力ジャイロを用いた発電方式を検討する.当初計画には無いが,最終目標への大きな進展が見込めるため,新たな作業として行う.本年度,コマ式ジャイロの理論と実験装置の微小修正により,コリオリ力による発電量を計算できることに気づいた.そこで,理論と実験により発電量と最適発電条件を求め,コマ式ジャイロとの性能比較を行う.当初予定の26年度,27年度作業が25年度中に一部実施済みであることから,当初計画の障害とならない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,ロータの運動計測のため,レーザ変位計の購入を予定していた.しかし,測定位置を工夫することにより,安価なエンコーダとデジタルカメラ(高速度撮影機能付)により測定が可能となり,経費に余剰が生じた. 研究の進捗が当初予定より早いため,26年度はコリオリ力ジャイロ方式の検討を新たに行う.このため,機械部品,電気部品の購入量が増える.25年度の残額は,その経費に充てる.
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Research Products
(4 results)