2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 健司 工学院大学, 工学部, 教授 (50251351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオミメティクス / MEMS / ロボティクス / 機能表面 |
Research Abstract |
平成25年度は,ロボットの表面部材に様々な機能を付与するための要素技術の開発を行った.まず,ロボットの脚などに用いる金属ワイヤの表面に,撥水性を付与するための加工方法を開発した.ワイヤ素材をステッピングモータで回転させながら,フェムト秒レーザーを用いて螺旋状の溝加工を行い,撥水剤をディップ法により塗布することで超撥水性を付与することができた.撥水表面の接触角,水面での支持力,引き離し力,抗力などを評価し,これらの物性と表面の微細形状との関係を明らかにした.表面に凹凸を設けることで撥水性が増加し,水面からの引き離し力の低減効果が大きくなること,水面での抗力は水面の変形を考慮した理論式と一致することなどが確認された. また,ロボットの脚の表面に付着性を付与し,壁面歩行などを実現するため,材料表面に微量の液体を供給する機構を開発し、表面にシリコーンオイルを供給した際の付着性、離脱性の評価を行った.その結果、粘性の高い液体を供給することにより,表面張力と粘性の効果により表面に平行方向、垂直方向の付着力がともに増加することが確認された. さらに、羽ばたき飛翔ロボットにおける流体力の制御を行うため,翅の表面にフェムト秒レーザーを用いて微細な凹凸の加工を試みた.製作した人工翅に働く微細な流体力を測定するため3分力計を購入し,3軸方向の流体力を独立に測定できる環境を整えた.次年度以降に推進力,揚力,抗力などを測定し,表面の構造との関係を解明する予定である. 以上のように,種々の機能性表面の創成法を確立し,表面の微細構造と機能との関係を解明することができたことから,研究計画をほぼ達成することができたといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つである「昆虫の表面機能を規範とし,MEMS技術を用いて付着,摩擦,濡れ性などをコントロールした表面など、ロボットを構成する複数の要素を表面部材の中に集積化する技術を開発する」ことがほぼ達成され、次の目的である「ロボットの組み立て技術」や、「自立型ロボットの開発」の準備ができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成25年度の開発した要素技術を組み合わせてロボットの設計,試作を行う.ロボットの種類としては,移動ロボット,壁面歩行ロボット,羽ばたき飛翔ロボットなどを製作する. 水面移動ロボットについては,まずアメンボなどの水生昆虫の観察,解析,シミュレーション等により,表面張力による水面移動の原理を解明する.次に表面にナノ・マイクロ構造を加工し撥水処理を施したワイヤを用いて人工の支持脚,駆動脚を製作し,支持力,推進力などを評価することにより水面移動に適した脚を開発する.最後に開発した脚を用いて,水面移動ロボットの製作を行い,駆動機構、センサ,制御回路などを一体化する. 壁面歩行ロボットは,昆虫の付着原理を規範とし,脚先端から粘液を出して付着する方法を採用する.付着面に液体の供給,回収,洗浄機能などを搭載し,高い付着力と離脱性を両立させ,付着力が長時間持続するようにする.また,壁面や天井面を自由に移動できるような運動機構を考案する. 羽ばたき飛翔ロボットは,昆虫の翅の微細構造や剛性分布を再現した人工の翅を開発し,羽ばたき運動を生成する駆動機構と一体化する.風洞装置などを用いて翅に生じる流体力を測定し,翅の微細構造と流体力との関係を解明する.また,翅に飛行速度や流体力などをその場計測する小型センサを搭載することも検討する.
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