2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
樹野 淳也 近畿大学, 工学部, 准教授 (40297594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 克彦 東海大学, 情報理工学部, 教授(Professor) (90276775)
田島 淳 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授(Professor) (30188239)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農作業ロボット / 脚式移動機構 / ポジショニング / 環境保全型農業 |
Research Abstract |
人間には困難かつ高負荷な作業を伴う環境保全型農業は,1 日中精度良く作業するロボットが適していると考え,研究を進めている.これまでに,局所耕うん栽培と名付けた栽培方法の有効性を確認する研究を実施するとともに,その機械化・ロボット化に関する研究を行ってきた.そのロボット開発の過程で,局所耕うん栽培と脚式移動機構に親和性があることを見い出し,脚式ロボットのスケールモデルの開発や圃場内で作業をする際の移動計画シミュレーションなどの先行研究を実施してきた.これらの研究成果を踏まえ,3ヶ年で実施する本研究の最終目標を,実スケールでの脚式農作業ロボットが圃場内で自律的に苗を定植することとし,第一年度は,脚機構の設計・試作,制御系の設計,自己位置認識システムの精度確認実験の研究項目に取り組んだ. スケールモデルの試作を行った先行研究により,脚の基本的なメカニズムは,GDAの考え方をもとに,遊脚および立脚をそれぞれパラレルリンク機構,直動機構とする構想を描いていた.この構想をもとに,実スケールの脚の設計および試作を実施した.この作業と並行して,ロボットの制御系の構築に着手した.本研究で開発するロボットは5脚を有しており,歩行のための各脚の制御には,ロバスト性やI/O数の制限などの観点から,各脚にECUを配置し,ホストコンピュータと信号授受を行わせることとした. 他方,安定性を重視しウエーブ歩容で歩行させた場合,胴体部は基準座標に対して多くの時間で留まっていることになる.この胴体の停止時間が長いという特性を利用して,基準座標に対するロボットの位置を推定する自己位置認識方法を提案し,システムを具現化した.屋外で精度確認実験を行った結果,RMSの平均は12mmとなり,ほぼ要求精度に近い値となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度では,主に,(1)脚機構の設計・試作,(2)制御系の設計,(3)自己位置認識システムの精度確認実験,(4)苗移植作業機の改良などの研究項目に取り組む予定としていた.いずれの項目においても,予め研究を遂行していたこともあり,ほぼ計画通りに進行していると判断している.具体的には,(1)脚機構の設計・試作の項目では,スケールモデルを試作した先行研究をベースに実スケールの脚機構を試作し,動作確認を行った.(2) 制御系の設計では,当初の想定に対して研究者内でのディスカッションの結果,現実的な制御系設計とした.(3)自己位置認識システムの精度確認実験は,当初の予定より試行錯誤を多く繰り返したが,目標とする精度を満たすシステムを構築することができた.(4) 苗移植作業機の改良においては,信号授受のための電気的な接続系統を構築したものの,機械的な接続については,第2年度での胴体部の試作と同時に行うほうがベターと判断し,次年度へ繰り越した.
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度では,脚式農作業ロボット全体の開発にとりかかる.具体的には,第1年度に試作した脚モデルの全脚製作と胴体部の設計・試作である.既往の研究により,脚式ロボットの脚数は5脚が適切と判断している.胴体の寸法は,既に開発した耕うん・移植作業機のサイズを考慮し,直径約1000mmの円が外接するサイズとする.また,搭載する作業機との干渉を避けるために,胴体上面がフラットになるよう,上下のプレートで構成するラダー構造とし,脚の動力伝達機構をプレート間に納めるよう設計する予定である.これらの設計については,研究代表者・樹野が取り組む予定で,試作における加工作業は,作業効率の観点から,一部を外注する予定である. 一方,農業の現場のような不整地の環境において脚式移動機構を用いるメリットの一つは,胴体の姿勢を容易に制御できることである.つまり,車輪式では作業機を搭載した面の姿勢制御は困難であるが,脚式では立脚の直動機構のストロークを制御することにより,胴体面の姿勢制御が可能となる.このことは,精密な農業の実施には大きなアドバンテージとなる.そこで,脚式ロボットが移動・作業する際に,望ましい胴体の姿勢を保てるような脚の制御アルゴリズムを検討し,制御系および電装系の整備後に,脚の立脚部を用いて,アルゴリズムを検証する室内実験を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に遂行した制御系の設計に関する作業では,当初,いくつかの方式について実験的に比較検証を行う予定であったが,研究者内でのディスカッションの結果,方針を変更し,現実的な制御系設計を採用することとした.そのため,予定していた予算額を遂行せず,次年度に繰り越すこととなった. 次年度に繰り越した予算については,第1年度で実施する計画であった作業を,第2年度で行うための費用に充てる.具体的には,作業機とロボットとの機械的な接続に関する項目であり,材料費や加工費などに支出の予定である.
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