2013 Fiscal Year Research-status Report
産業用ロボットの新しい用途開発に関する研究―発泡プラスチック加工ロボット―
Project/Area Number |
25420232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
永田 寅臣 山口東京理科大学, 工学部, 教授 (50435070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 章正 山口東京理科大学, 工学部, 助教 (90611848)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業用ロボット / 発泡プラスチック / 切削加工 / CAD/CAM |
Research Abstract |
ハイコストなCNC 工作機械を用いた加工システムの研究が行われているが、平成25年度は従来の木工用スピンドルチルト式5軸CNC 工作機械の約1/10 の価格で導入できる6 自由度垂直多関節型の小型産業用ロボットをベースにして、加工ロボット本体を試作開発している。具体的には、回転数を0~60,000rpmの範囲で高精度に自動調整できる小型軽量の電動スピンドルをベースとした工具を試作開発し、軽量アタッチメントにより研究室の既存設備であるオープンアーキテクチャ型の教育用小型産業用ロボットRV1Aのアーム先端に装着できるようにし、実験用加工ロボットを構成した。工具先端部には、様々な形状とサイズのエンドミルを固定できる。その後、オーバハングを持つ発泡スチロール型の加工時における、ワークとアーム、ワークとエンドミルの干渉問題について実験的に検証し、3次元CAD/CAMを用いたエンドミルのアプローチ方法、姿勢制御法、退避方法などのための軌道生成、すなわちカッターロケーションデータ(CLデータ)の生成方法について検討した。 つぎに、産業界に広く普及し始めている3 次元CAD/CAM との連携を考慮したロボット制御インタフェイス(ロボットCAM システム)について検討した。ロボットCAM システムは、オンラインやオフラインの教示を行うことなく、すなわちロボット言語を用いることなくロボットアーム先端に装着したエンドミルの位置(3 自由度)と姿勢(3 自由度)を直接制御できるようにするためのロボット制御インタフェイスである。具体的には、汎用の3 次元CAD/CAM のメインプロセサが生成する基本工具経路(CL データ)を目標軌道として直接参照でき、エンドミルの位置と姿勢をCLデータに沿って追従制御させる機能の設計とソフトウェア開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画に掲げた、「発泡スチロール型の3 次元加工のためのロボットシステムの試作」、「3 次元CAD/CAM との連携を考慮したロボット制御インタフェイス(ロボットCAM システム)の設計」について、前述した平成25年度の研究実績のようにほぼ計画どおりの成果が得られている。このため、「おおむね順調に進展している(Progressing Rather Smoothly)」を自己評価結果とした。平成25年度の研究成果は、書籍での発表[1]、口頭での発表[2]、および論文での発表[3]で外部へ公表した。 [1] Fusaomi Nagata, Sho Yoshitake, Keigo Watanabe, Maki K. Habib, Robotic CAM system available for both CL data and NC data, Engineering Creative Design in Robotics and Mechatronics, Chapter 15, pp. 265-276, IGI Global (701 E. Chocolate Avenue Hershey PA 17033, USA), 2013. [2] 中村航輔,永田寅臣,大塚章正,渡辺桂吾,産業用ロボットのためのロボット言語を用いないCAMシステム,第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門学術講演会(SI2013)講演論文集,pp. 1477-1482, 2013. [3] Fusaomi Nagata, Sho Yoshitake, Akimasa Otsuka, Keigo Watanabe, Maki K. Habib, Development of CAM system based on industrial robotic servo controller without using robot language, Robotics and Computer-Integrated Manufacturing, Vol. 29, No. 2, pp. 454-462, 2013.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、発泡スチロール型の加工実験による加工自由度と加工効率の評価を行い、加工品質を改善するためにボールエンドミルのスティックスリップモーション制御法の設計開発を行う。 発泡スチロール材の加工で使用されている代表的なサイズのボールエンドミルをロボットアーム先端に装着できるように、平成25 年度には電動スピンドル工具を試作開発している。平成26 年度はまず、この工具を搭載した加工ロボットを用いて、曲面を有する発泡スチロール型の加工実験を行い、加工自由度と加工効率(時間)について、従来のスピンドルチルト式CNC 工作機械を用いた場合と比較評価・検証を行う。 自由曲面を有する形状の加工にはボールエンドミルが用いられているが、被削材である発泡スチロールが軟質低強度であるため、大部分が粉状、塊状の切りくずとなり、局所的にはむしり取るあるいは砕き取るといった加工状況になっていることが多い。これまでに、鋭利な刃物による低速2 次元切削の方法が提案されており、工具のすくい角と傾斜角の調整により良好な切削が可能になることが報告されている。しかしながら、発泡スチロール型に求められる自由曲面への適用性や加工効率を考慮すると、実用性に乏しいと思われる。 我々は既に、LED レンズ成型用金型の自動仕上げのために、コンプライアンス特性を有する工作機械を提案し、数μm 程度の非常に小さなスパイク状のスティックスリップモーションを加えることで仕上げ品質を高める方法を提案している。平成26 年度には、平成25 年度に開発したロボットCAM システムに実装可能な、発泡スチロール材の3 次元加工のためのスティックスリップモーション制御法を提案し、設計開発を経て、ロボットに適用できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3622円の次年度使用額が生じておりますが、これは加工実験用の発泡スチロール材を購入した際の端数残金です。 次年度使用額として生じている3622円を含めて、平成26年度の加工実験用の発泡スチロール材を購入する予定です。
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