2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 悟司 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40160733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高周波減衰特性 / 電力ケーブル / 表皮効果 / 近接効果 / EMI |
Research Abstract |
本研究は,PE 機器で問題となる数100 MHz までのEMI/EMCのシミュレーション精度を向上することを目的として,電力ケーブルの高周波減衰特性の測定法について検討するものである。 平成25年度においては,以下の研究を実施した。 (1) 予備実験の妥当性の確認 先に行った予備実験を評価するために,簡単な形状の実験モデルを構築し,測定を行った。測定システムでは,近接効果の影響を軽減して,表皮効果の影響のみを評価できるような電線の配置とした。さらに,それと同じ形状のシミュレーションを電磁界解析ソフトウェアEMC Studioを用いて実施し,シミュレーション結果と実験結果の比較を行った。その結果,提案した測定法ならびに測定結果の妥当性・有用性を確認し,電力ケーブルの高周波領域の抵抗が表皮効果から計算した抵抗値の10倍程度大きいことを示した。 (2) 予備実験の100 MHz程度以上で測定結果がバラつくことの原因究明 先に行った予備実験では,簡易的に実験を行うために電力ケーブル発信器の接続にはBNC/ワニグチクリップケーブルを用い,電圧測定にはパッシブプローブを用いたオシロスコープを使用した。しかし,電力ケーブルと測定器との接続法は,特に高い周波数領域において測定結果に影響を与えることが予想される。また,オシロスコープのパッシブプローブは,低周波では入力インピーダンスが十分高いが,高周波領域においては入力インピーダンスが低下して,測定結果に影響を与える恐れがある。まず,電力ケーブルと測定器の接続は波長に対して十分短いケーブルで接続することが望ましいことを確認した。さらに,電圧測定にはFETプローブを用いることが望ましいことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた妥当性の確認と測定法の検討が修了し,当初の計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた成果を基にして,平成26年度は以下のような手順で研究する。 (1) 300 MHz までの周波数範囲で測定可能な測定システムの構築 前年度に行った研究成果をベースに,300 MHz までの周波数範囲で測定可能な測定システムの構築を行う。測定システムでは,測定器と電力ケーブルの接続法,長い電力ケーブルの配線法,電力ケーブルの入力端と出力端の電圧測定法,電力ケーブルの特性インピーダンスの測定と整合法などがポイントとなる。300 MHz 程度の周波数領域までこれらの条件を満足できる計測器と被測定用電力ケーブルの接続器具を専用に設計・制作し,安定した測定結果が得られる測定システムの構築を行う。 (2) 種々の電力ケーブルの測定 現在広く使用されている代表的な電力ケーブルについて,開発した測定システムを用いて抵抗成分の高周波特性を実際に測定する。さらに,単芯であるか多芯であるか,素線のメッキの有無など,電力ケーブルの構造の違いによる抵抗の高周波特性の違いについても検討を行う。また,これらのデータは電力ケーブルの種類とEMI の低減との関係を考察するうえで重要な知見を得られる可能性がある。
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